黄蝶 17 side:不二 初めてのテニス部とバスケ部の合同練習。 とはいってもただのスポーツテストだが。 乾にとっては最高のデータ収集の場だろう。 やはりと言うか、翡翠の記録はスゴい。 テニス部のレギュラー陣を裕に越えるだろう。 1年の越前と知り合いだと言うのは腑に落ちないが、今は気にしないでおこう。 僕の目の前では、すでに大半が脱落したシャトルランが行われている。 大半も大半。 残すは2人しかいない。 「彼、すごいな。1年だろ?翡翠と張り合ってる」 「負けず嫌いなんでしょ、きっと」 バスケ部のマネージャーに話しかけられ、そっけなく返す。 そう、今競うように体育館を往復しているのは、バスケ部部長の翡翠と、うちの1年越前リョーマだ。 結局越前の体力が尽きて翡翠が1人で走るが、まだ続けるのか? 「あぁ、バスケ部にとってこれは自分との戦いだからな。限界の後、今の自分を越える戦いだ」 俺の言葉にならなかった問いに答えたのはやはり青井。 「翡翠の場合、皆より体力、フィジカル共にあるから、長くなるんだ。孤独な戦いだよ、まったく」 ―部長ファイト― ―部長頑張れ― など、周りからはバスケ部員の応援が小さく聞こえる。 孤独ではない。 皆が応援している。 良いチームだな、と感じた瞬間だった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |