黄蝶
13
「まずは、反復横跳び」
青井の指示でペアの片方が一列に並ぶ。
本当にスポーツテストのようだが、少し違うのは、外側のラインの時は手を床につけなくてはいけないこと。
青井が細かくやり方を説明し、軽く練習をした後に本番を2回行う。
瞬発力もだが、足腰の強さも図れる。
慣れないやり方に苦戦する新入部員とテニス部だが、流石と言うべきか、テニス部のレギュラーと呼ばれる人達は初めての筈なのに、バスケ部の2、3年並みの反応を見せていた。
それに負けず劣らず存在感を出しているのは、見知った顔。
小柄な体に帽子をかぶった1年生。
テニス部の新入部員、越前リョーマだ。
『越前君、すごいじゃん』
「彼と、知り合い?」
俺の呟きに反応したのは、隣にいた不二。
『こないだ話しただろ?委員会のペアの1年生。彼だよ。越前リョーマ君』
「へーー」
「翡翠ーー!数えてたーー?」
声の温度が下がった不二の方を向けば、反復横跳びを終わらせた菊丸がまた飛び付いてきた。
『はいはい』
紙に菊丸の記録をメモして渡す。
次は俺の番。
少しだけ固まった体をほぐしながら並ぶ。
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