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橙蝶
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[そのまま〇〇港の倉庫に向かって!]

『は?』

丁度仕事が終わる頃、持たされている携帯電話が着信を伝えた。

相手はそれを持たせた人間ではなかったが。

焦った声で指示を出すのは、初等部Bの担任。

[棗くんと蜜柑ちゃん、棗くんのパートナーの子がそこにいるんだ。毛利玲生・・・Zの一員と一緒に]

「そんな勝手なことは認められない」

耳にこの携帯の受話機能を取り付けたイヤホンを入れていた彼、青海 光星が俺の手から携帯電話を取り上げ、そう告げた。

彼は俺の監視役だ。

初等部校長命の融通の効かない奴。

俺はそう認識している。

制御のアリスなため、仕事以外で俺のアリスは彼によって完全に制御、管理されているのだ。

不愉快きわまりない。

[今から我々も向かう。でも、君たちからの方が断然近いんだ]

「我々が動くのは校長の指示のもとです。貴方に従う理由がない」

『青海、俺は行く』

「那智!?行って何になる!」

本当に融通の効かない彼に痺れを切らし、俺は走り出す。

いや、走り出そうとした。

しかし、片手を彼の携帯を持たない方の手で掴まれ、それは阻止された。

『棗を失うことは校長にとってもマイナスだろ』

「・・・」

『それに、俺は逃げたりしない。必ず帰るから』

尤もなことを並べれば、彼は仕方ないと言うように俺の手を離した。

「僕は一切手を貸さない。帰ったらお仕置きだよ・・・、那智」

最後の言葉に少々の寒気を感じながら、俺は青海と共に言われた倉庫に急いだ。

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