夢幻未来
弐
「わー、雨の日はものすごい事になりそうな天パですね、もう見事なぐらいに。あ、もしかしてあなたの場合は天然パーマじゃなくて天然記念物的パーマ?」
「うっせえよおオオオオオ!!!ってか君何?何なの?銀さんいじめて楽しいか天パなめんなよコラアア!!ってか天然記念物的パーマって何だよ!!普通初対面でそういう事言いますかコノヤロー」
額に青筋を浮かべ、肩で息をしながら怒る銀髪の天パ。
凛花は内心爆笑しつつ、口元にはゆっくり弧を描く。
「いえいえ、もうからかう度に良心の呵責でお腹が痛くて痛くて・・・楽しくなんてないですよぅ?それに、初対面じゃないのに。私は一目見てすぐ分ったのに・・・死ねよ天パ」
「要するに笑いすぎで腹が痛いんじゃねェかあああ!!・・・って、え??俺、アンタと会った事あったか・・・??」
頭を押さえて必死で思い出そうとする天パ。
少しムカついた凛花はわざと悲しげな声を出した。
「もしかして・・・覚えてないんですか?」
彼は凛花が泣きそうになったと思ったらしく、慌てて取り繕った。
「あ、ああ!!君ね、あの時の!!やー久しぶりだなぁ!あっはっはっは!!」
(嘘がへたくそなのは変わってないのね・・・)
額にあからさまに変な汗を浮かべて、それでも必死で思い出したふりをする彼。
少し呆れつつ、それでも微笑ましくて。
凛花は芝居をやめてあげた。
ふわり、と笑って笠を僅かにあげて顔を見せる。
「フフッ・・・相変わらずだなー、銀時は。嘘がへたくそだけど優しいのとか。ごめんね、からかったりして?久しぶり」
彼・・・銀時の目が、これでもかというほどに見開かれた。
そして、次の瞬間には。
「え・・・?凛花?!凛花じゃねーか!!ったく、敬語なんか使うし声まで変えるし、全然分かんなかったぜ。元気にしてたか?」
ぎゅーっと抱きしめられて、凛花は口元をほころばせる。
態度の変わりようがおかしくて笑ってしまった。
「見ての通りだよ。銀時も元気そうだね!!」
そう言うと、銀時も二カッと嬉しそうに笑い、高い高いをするかのように凛花を持ち上げた。
「おう。・・・あー、本当久しぶりだな、凛花」
嬉しそうに笑う銀時。
ふわふわ、と頬をなぜる銀髪が懐かしかった。
「ちょ、くすぐったい!」
お返しとばかりにモフモフ銀髪をいじる凛花。
すると、銀時はやっと凛花を離して嫌そうな顔をしてみせた。
「俺の髪の毛で遊ぶんじゃありませんー」
「あはは、ごめんごめん。(だって昔より天パに磨きがかかってるんだもん)」
「()の中聞こえてるんだけどオオオ!!?」
謝ってもまだ文句を言う銀時にくすくすと笑う。
やっぱり、銀時は昔から変わってない。
なんだか、少しだけ安心した。
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