夢幻未来
信じてるから
「・・・行ってしまったか」
ポツリと呟いた陸奥の珍しく感情を露わにした声に頷きながら、辰馬は小さく笑った。
「そうじゃのう。じゃけんど、最後まで凛花はさよならを言わんかったきに、またすぐ会えるぜよ」
どこか遠くを見つめて言われたその言葉に、陸奥はわずかに口元を緩ませた。
「凛花の事を一番良く知ってるおんしが言うんじゃ、きっとそうなんだろう」
「わしは確かに凛花の事を一番よく知っちょるが、あくまでもその中の一人っちゅうだけぜよ。銀時や桂、それに高杉もそうじゃからの」
辰馬は昔を懐かしむような目をして青く晴れ渡る空を見上げた。
だがそれも少しの間の事で、すぐに快援隊のリーダーとしての表情に変わった。
「快援隊、出発じゃ!!」
そう掛け声をかけて、船に乗る前にもう一度だけ凛花の去った方を見やる。
「凛花・・・。おんしの旅路に幸があらんことを」
ふっと本当に優しい目をして、辰馬は船へと乗り込んだ。
・・・もう、後ろは向かなかった。
彼女なら絶対に大丈夫だと、信じているから。
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