夢幻未来
U
ふと、喧嘩を見ていて凛花の瞼の裏に浮かんだ光景があった。
今と似ている、でも全然違う思い出。
今でも、鮮やかによみがえる。
一番幸せだった頃の思い出。
まだ私が10歳の春。
初めてお花見をしに行った時だっただろうか。
『おいコラ――アアアアアア!!!てめーまた俺の団子食っただろ!』
『俺じゃないぞ!どうせ自分で食べて忘れてるんだろう』
『そんな訳ねーよ!ちゃんと数えてあったんだから!』
『――・・・、本当は食べたの貴方でしょ?』
『内緒にしといてくれよ。このままアイツに押し付けられそうなんだからな』
『・・・いい性格してるよね、ホント』
『凛花には負けるぜ。それに、そう言っても結局は俺の味方してくれるんだろ』
『だって、黙ってた方が面白いもん。今回だけだよ?』
『ははっ・・・いい性格せいてるぜ、ホント。さすがは俺達の姫だな』
『・・・んー・・・、褒めてるの?それ』
あれからあの桜の様に、あの光景は散ってしまったけれど。
全て変わってしまったけれど。
私達の絆は変わらないものだといいのに。
そう願ってしまうのは罪な事ですか?
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