→銀魂
舞い落ちるセツナイ結晶たちのように<完>
※銀時視点





しんしんと降り続ける白い結晶たちは、美しく、そして容赦なく俺に積もっていく。

俺はずっと立ち止まって空をみていたから。

空はどんよりとした鉛色で、けれどそこから目を見張るほどに綺麗なものが降ってくる。

白かった。


ほら、このまま俺を消してくれよ。


ほら。






でも、何故だろう。昔より寒くない、冷たくない。
からだの奥からじん、と何か温かいものを感じる。

何だろう…








「おいっ!?お前っ…万事屋!?」

突然、誰かに肩をおもいきしひかれた。

「何…?土方…」

ちょっと痛かったんですけど。

「何じゃねーよ!っこんなに冷えて…お前何やってんだよ!!」

「ちょ…土方っ」


手を(強引に)引っ張られて近くの喫茶店に入った。


「まあっ!お客様雪だらけじゃないですかっ大丈…って万事屋さん!?と真選組の…」

ああ、そういえばここで助っ人したことがあったけか。

「ああ、悪いがタオルくれねーか?こいつかなり冷えてて。」

「もちろんです。今お持ちいたします!」



雪を落とされ、髪を念入りに拭かれた俺は土方に押されるがままにテーブルについていた。

「なんか食って身体暖めろ。」

「…俺金ないし」

「チッ!…奢ってやるよ!!」

「…じゃあイチゴパフェ。」

「なっ…お前冷たいもの食ってどーするよ!?せめてココアにしとけって!」

「…じゃあココアとイチゴパフェ。」

「…。」


土方はコーヒーをたのんだ。





甘酸っぱいフローズンイチゴが胃を冷やす。
ココアが嬉しい。
おいしい。


イチゴも、バニラアイスも冷たいけれど、何故だろう、まただ。どこか温かい。


「なあ、万事屋。………………………お前もうちょっと自分の身体大事にしろよ。」

…。
ちらりとアイツをみればそっぽを向いていた。

「…心配してくれるんだ。」

「…不本意だがな。」

なんて、言ってるけどお前顔赤いじゃねーかよ。

「…ふうん。」




じわ……



あ、またきた。温かいやつ。


…そうか。解ったわ。
何故かって言えば、俺には昔と違って、まもるべき、愛すべきものができたからなんだ。

それは子供たちでもあるし、不本意ながら目の前のこの男でもある。
そういえばこの店の店長もかもしれないな。

俺は彼らを愛しているし、だから護らないといけない。
同時に彼らは俺を護ってくれているんだ。



ほら、こんなに冷えた身体でも、

ほんわかと、温かい。




俺は消えない。

繋ぎ止める多くができたから。

消せない。

奴らがそうさせないんだ。


ばーか。




「なあ、土方。」

あ、まだ横向いてる。

「あ?」


「ありがとな。」


ばーか。






fin

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