→銀魂
舞い落ちるセツナイ結晶たちのように


考えてみれば、もう12月の中頃だもんなあ。寒いのは当たり前、か。
自販機に並ぶホットココアに目を奪われるが生憎今日はジャンプを買う分しか持ってきていない。

「チッ。さみーなあオイ。」

少し、文句を垂れてみたり。
かといって、別に寒いのが嫌いなわけではない。
むしろ、好きだ。
寒さは、俺を容赦なく戒めてくれるから…。

体温が奪われていく不安。熱が消えて、このまま自分がいないことにされてしまうような。
ギュウゥっと胸が締め付けられる。ああ、これなんだ。このかんじ…このかんじが良い。
とっくに冷たくなってる着流しをぎゅっと体に巻き付ける。
このまま、このまま小さくなって、消えちまうかも知れねーなぁ。
消えちまったら良いんだ…。

チリッッ

鋭く、甘い冷たさを感じた。
見上げればいつのまにか雪が舞っていた。
てのひらを空へと向ければ、ハラリフワリと落ちてくる。


溶けて見えなくなる。


アスファルトに目を落とせば、溶ける、溶ける。


…雪のようだった。
あの頃の俺たちは。
同志と、しっかり肩を組めていた時間なんて本当に僅かだった。
命なんて、そう、雪が溶けるようにあっけなく逝くんだ。
溶けかけの雪を必死で守ろうとしても、指の隙間からこぼれ落ちていく。


いくつその手で送った?
いくつその手は見送った?

いくつこの手は、あの儚いものに触れただろう。


いつのまにか立ち止まって空を見上げていた。
肩には既に雪が軽く積もっていた。
寒い。
このまま消えてしまえば良いんだ。

このまま…このまま。



fin








あとがき


我ながらワケわからん。
実体験を元にしたはずなのになあ。

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あきゅろす。
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