ハルヒ
深淵
注:この作品は小野大輔(古泉さん)さんが歌っておられる杉田智和(キョンさん)さん作詞の歌『深淵』をもとに作った話です。
『深淵』をきいたことないひとは、一度きいてから読むことをおすすめいたします。泣けますよ。
注:古泉消失してます。暗いです。
『深淵』
「ねえ、キョンくん。」
「なんだ?」
「ずっと…この先ずっとですよ。」
「?なんのことだ。」
ふ、と古泉が俯く。
「ずっと…僕のそばにいてくれる、と約束してください。愛をくださる、と約束してください。」
何を今更…と思ったままを口にした。
「そう…ですよね。あはは。おかしいな…急に、急に寂しくなったんです。だから、約束してもらおう…って。」
「……。なんかあったのか?」
古泉がわずかに笑う。
「いえ、別に。」
「そうか。…約束、するぞ?」
「え」
「…。こんなこと二度と言わないから、しかと心に刻んどけ。………あのな、俺は自分でも不思議なくらいお前のことが好きだ。あ…いしてんだよ。」
「…っ」
「どうかしてるぜ、まったく。だから、俺はお前から離れていくなんて絶対しない。お前が好きだ。…古泉、お前がいない未来なんて俺には考えられない。」
―ありがとうございます。
そういって奴は凄く嬉しそうに微笑んだ。
ああ、好きだよ古泉。
愛してる。
お前も俺のそばに、一生いろよ?愛をくれるって約束しろよ?
…なんてことは言わなかった。それこそ、今更だろう?
愛してる。
愛してる。
眩しい…。
突き刺すような光がカーテンから伸びている。
夢、か。
懐かしい、懐かしい夢。
もう、何度目だろうか。
何度も見続ける夢。
何度もささやく愛してる。
なあ、古泉よ。いい加減に忘れさせてくれよ。
いつまでそこにいるつもりだ。
「「大好きですよキョンくん。」」
「あ……。」
幻聴。でも、
「そこにいるのか?古泉。どこだよ!?」
解ってる。
「「愛してます。」」
解ってる。
「どこだってきいてんだ!!!」
解ってる、
「「かわいいですね、キョンくん。」」
「こいっず…み!」
違う…っ!
お前はもういな……
「…っ」
込み上げる吐き気。
「うっぅえッ…ぐ…っ…お…うっ」
信じたくなかった。
今ではもうこんなことはない。
失って三年くらいは、それはもう毎日のようにこうだった。
泣いて、泣きはらして、枯れた。
枯れてもまだ泣いた。泣くために生きた。
「聞いて。彼はこの世界から消滅した。この件に関して、涼宮ハルヒはなにもしていない。なにか別の存在が彼に関しての情報を書き換えた。彼の存在は、存在した痕跡からなにまで消えた。…記憶をもつのはあなた一人。」
何かがすっかり抜き取られたような気がした。
それでもその空間を埋める悲しみがあった。
悲しむことで自分をたたせていた。
悲しみを慰めたくていろんな奴と交わった。男とも、女とも。何度も。誰でも良かったんだ。
そこにあった温もりをもう一度感じて安心したい。
相手をあいつに置き換えて、でも綻びがみえたらダメだった。
最中に泣いてしまったこともあったし、あいつの名を呟いてしまったこともあった。
意味を持たせたい感情でいっぱいなまま大学生活は過ぎて、
それなりの会社に入って、それなりの生活をしている。
年をおうごとに悲しみは掠れていった。
掠れるごとに心は空虚になっていった。
悲しみでいっぱいになってしまっていた心は、それがなければただの器だ。
そのことに焦った。
あんなに愛してた…違うっ愛してるのにどうして。
好きだった。…んじゃない。好きなのに。
どうして。
もう涙がでてこない自分に絶望した。
「なんであんなに泣けたのだろう。」
そんな疑問が浮かぶことに絶望した。
悲しみが消えていくのと同時に愛する気持ちが消えていくようだった。
好きだっ!好きなんだっっ!忘れたくない…。
怖い…失いたくない。
暗記していたアドレスを入力しメッセージをかいては保存していた。
送信はしない。できない。
読み返し悲しさを、愛しさを感じては安心した。
「記憶を消したい?」
「消せる…のか?」
コクリ、と頷く長門。
消す…か。
消したいのか?
いや、消したくない。
「…いや、いいわ。ありがとな長門。」
「………。」
「…。」
「…あなたは幸せになるべき。できる?」
………さあ、な。
「でも、それでも俺は残しておきたいよ。」
「…そう。」
今でも会いたい。
会いたくて堪らない。
でも会いたくない。
会ったとき、おれはもう一度愛を口にできるか自信が無いんだ。
好きだ。今でも。
でも解ってる。
もう無理なんだ。
叶えたい、それは叶えられる希望ではなく夢であると、幻であると理解したくなかった。
会いたい、それこそが夢だと。叶わない…。
信じてたかったよ。
ああ、いっそ笑えたら。
笑ってくれよ…なあ。
そうしたら少しは救いがあるぜ。
ああ、罪な奴だよなあお前は。
きっとこれからだって俺はお前を忘れるなんてできない。
月日は重なり、俺はこのままそれなりな人生を送るのだろう。
なのにきっと忘れるなんてできない。
何でかわかるか?
それはな、お前がおれにとって一番愛すべきやつだからだ。約束しただろう?
安心しろ。
俺はお前を忘れたりなんかしないから。
だから、そろそろ終わりにしよう。
お互いに、執着するのはやめよう。
いるんだろう?
俺の、記憶の中に。
愛してる。
たまに思い出してやるよ。
俺は俺で人生をまっとうしないとな。
愛してる。
愛してる。
忘れたりなんかできないから。
fin
長くなってしまった…。
すみませんでした。
もっと勉強して、国語力がついたらもう一度挑戦したい作品です。
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