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素肌に染みて消えないあなた







なあ、頼むから。



















いっぺん死んでこい。

やっぱ永遠に。







「ひーつがやはーんVv」
「還れ」

「ちょ…字違くあらへん?」

「黙れ。煩い。死ね」

「いやん。何時もの変わらんキューティーふぇいすなんやからVv」


どす黒いオーラを纏った毒舌も何のその。(もはや会話すら成りたっていないが)つんっ、と極上の皺を寄せている日番谷の頬をつっつく市丸。

血管がぶち切れるなんて、もう慣れてしまった。今なら全身から血吹き出せるくらいだよ。


そんな日番谷の心中など知りもせずに、今日も可愛えお顔やなあ。とか、お肌すべすべや。とか鼻息荒く、べたべた触りまくってくる市丸。

見るもたえない、セクハラ行為の数々。











本当、ウゼエ。

日番谷のイラツキは今日も絶好調でした。

まさか、コイツは俺を殺すつもりなのか?
ストレスで殺してやるとか、そんな陰謀でも企んでいるのか?

ああ…もういっそ、そっちの方が楽な気がしてきた。



「もう…なんや、我慢出来ん!!いただきま「滅べ」



メリッ

何かが裂けるような、そんな物騒な音は、市丸の顔面に日番谷の肘が減り込んだことによって、聞こえた。
ぐさり。と刀をぶっ刺したいところだが、証拠隠滅とか、死体処理とか、後々色んなことが面倒臭いから止めておいてあげた。

数メートル吹っ飛んだ市丸はピクリともせずに倒れたまんまとなった。
勿論、日番谷が気に止めることなどない。
常人ならば、死んでもおかしくない程の威力を持った攻撃…いや、痴漢対処方だ。


コイツ以外になら。














「ククッ…」


くたばった筈の市丸から聞こえてきたのは、気味の悪い笑い声。
そこら辺にいる犯罪者よりよっぽど達が悪い。


「……笑うな変態」

「ククッ……やって、こんなのへっちゃらやもんねー!!」

「……………」


もう、何か罵声を浴びせることにも疲れてしまった日番谷の今の顔は、人に見せられないほど、引きに引きまくった顔をしていたことだろう。

本人いわく、日番谷からくらった攻撃は全て市丸への多大な愛へと変わるらしい。
今も、大量の血を流しながら、全く日番谷はんは恥ずかしがりなんやからー。とかほざいている。

妄想もそこまでいくと羨ましいぜ。ド畜生が。どんだけポジティブに生きてんだよ、この男。



「今日も日番谷はんが元気でなによりや」

「そうか。俺はお前が死んでくれたらもっと元気になると思う」

「せや。デート行こ!」

「シカトぶっこいてんじゃねーよ」

「何?今いちゃいちゃしたいんやて?もおー…しゃーないなあ。照れ屋さ「だから死ねよ」


ドガゴッ

ひくひくと動いている謎の生命体と化した元変態。二回目の致命傷により、どうやら少しは効いているらしい。
頼むから、そのままくたばってくれ。
そんな願いが聞き入れられることは無いだろうが。



ハアーと溜め息が出るのを止められるわけもなかった。
溜め息ぐらい出さなければ、とてもじゃないがやっていけない。



















何で、こんな変態を好きになんてなってしまったのか。


って、何時も自己嫌悪に陥る。



「……ぶはっ!!流石に死ぬか思たわ」


息を吹き返したのか、市丸がむくりと起き上がった。予想より早く復活してしまったことに、舌打ちをする。
もう少し、強めに殺っておけばよかったな。


「日番谷はん」

「何だ変態」

「結婚しよ」

「脳みそ引きずり出してやるよ」


いきなりぶっ飛んだ話しだな。なんてツッコミもしたかったが、この場合、変態を少しでもまともにしてやりたかった。
となれば、脳みそ引きずり出して綺麗さっぱり無くしてしまったほうがいいだろう?
そしたら速やかに脳みそは凍らせて粉々に砕いて、誰も変態にならないようにしてやるから。
何てったって、脳みそに触っただけでも変態が移りそうだからな。


「随分物騒やなあ」

「テメエの行いが悪いからだろ。やっぱり存在が」






へらへら笑いやがって。


ウザくて、ウザくて、仕方ないのに、それでも、市丸の横にいることが心地良いと感じてしまっている。
幾ら、暴言を吐いて、突き放した所で最後は自ら戻ってしまう。
離れたくないとでもいうように、体中に染み込んだ市丸の匂いを辿って、













市丸の傍へと。





「愛しとるよ」

「俺も。お前が死んだら愛してやるよ」

「ひどっ!!」



End

 

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