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寒い日の温かさ【聖霊狩り】
「う〜。さむ」
物凄く寒い風が頬を撫で途端、私はおもわずブルリと震え上がってしまった。
空は灰色の雲が厚く張り込め、今にも雨か雪が降ってきそう。
天気予報で「今朝は冷え込みます」って言ってたけど、これはあまりにも寒すぎませんか!?
「早く御霊部に行こ」
マフラーを鼻まであげ、道を歩く。その時、ふと前を見て……固まってしまった。
「……」
道の脇に見慣れた赤い車が止まってるのが見えたのは、気のせいでしょうか?
「気のせいだよね……」
ははは、とから笑いをしながら、赤い車の脇を通り過ぎようとした途端、車のドアが開く音と共に後ろから肩を叩かれる。
振り返るな私。今振り返ると最悪なモノを目にするぞ!!
「……オイ」
「……」
「……無視するな」
「……」
「……」
「……。あれ?……わ!!」
無視を決め込んで歩いていたら、いきなり肩を掴まれて無理矢理、振り向かされた。
そこには、不機嫌丸出しの有田さんの顔が……。
「ははは。今日は寒いですね……」
ひきつり笑顔を浮かべると、ニコリと笑った有田さんに殴られました。
「いっっっだ!!」
手加減してくれたみたいだけど、結構痛いよ。と、いうか私正論しか言ってないのに何故殴られた?
疑問と怒りが頭の中で科学反応を起こしかけている(つまり、混乱している)私の手を有田さんが掴み、歩き始める。
「ちょっ!! 有田さん!」
「今日の仕事は俺と一緒に物の回収。御霊部の許可は取った」
「え!?」
こんな暴力男と一緒に仕事!?
嫌な気分一杯で有田さんの背を見てると、有田さんが「それと……」と続ける。
「無視はしないでくれ。お前に無視をされると悲しくなる」
「え……?」
有田さんの言葉に私は目を丸くする。
当の有田さんは前を向いたまま歩調を速くした。多分、恥ずかしいんだろう。
少し、意地悪してやろ。
私はニヤリと笑うと、車に乗ろうとする有田さんに飛びついた。
有田さんの顔が赤くなったのは言うまでもなく。
「なにすんだ!!」
「良いじゃないですか」
ギュッと抱きついてる手に力を入れたら、上から溜め息が聞こえた。
「勝手にしろ……」
「勝手にします♪」
私は、ニコッと笑いながら有田さんにすり寄る。私よりも体温が高いのか、有田さんの体はとても温かい。
しばらくの間そうしていると、ボソッと有田さんが呟いた。
「……可愛いな」
「え?」
「なんでもない」
そう言うと、有田さんはそっぽを向いてしまった。その顔が真っ赤になっていたのは、寒さのせいにしておこう。
寒い日の温かさ
(有田さん、雪降ってきましたよ!!)
(綺麗だな……)
駄文、すいません(>_<)
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