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「こんなとこでずぶ濡れになって何やってんだ?」


 私の声で気づいたのか向こうも立ち止まり、憎たらしい笑みを浮かべてくる。


「調査の帰り。有田さんこそどうしてこんな所に?」


 首を傾げると、彼は私の目の前にコンビニのレジ袋を突き出してきた。

 どうやら、近くのコンビニで買い物してきた帰りらしい。


 それは分かったが、


「物突き出すんじゃなくて口で言え」


「これの方法が一番手っ取り早い」


 口で言うのと差ほど変わらないと思うんだけど……。


「それよりチビ。なんで傘をさしてないんだ」


「無いからに決まってるでしょ」


「なら、雨宿りでもなんでもすればいいだろ」


「……」


 たしかに、有田さんのいう事には一理ある。


 だけど、彼に言われるとなんとな〜く腹が立つなぁ。


 私は、沸々と燃え上がる怒りの炎を悟られないように作り笑いを浮かべる。


「雨に濡れるのが好きだから『わざと』家に置いてきたの。それじゃ私、家に帰るから」


 そう言って私は有田さんの横を通り過ぎようとした……が、


「おい、待て」


 そのまま怒っていなくなってくれれば良いのに、なぜか有田さんは私の腕を掴んできた。


 何で突っかかってくるかな。


 苛々丸出しで後ろを振り返る。


「なに?」


 嫌そうに尋ねると、ずいっと有田さんがまた何かを突き出してきた。


 何かと思いを上を見ると……さっきまで有田さんがさしてた傘があった。


「使え。そのままだと風邪引くぞ」


「……余計なお世話。それに、後10分位で家に着くし」


「俺の家はこっから5分だ」


 うっ、負けた。


「けど、私に傘を貸したせいであなたが風邪引いたら、ヤミブンになに請求されるかわからないからいい」

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あきゅろす。
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