1 ※夢主は、御霊部に入っています。 「げっ!? 雨降ってんじゃん」 御霊部の仕事帰り。私は、ざぁざぁと音がする程大量に降っている雨に舌を巻いていた。 実は、私傘を持ってきて無いんだよね。 家を出る時、なんか雨降りそうだなって思ったんだけど、今日の仕事は簡単な調査だけ。 だから雨が降る前に終わるだろうと思って、傘は置いてきたんだけど……考えが甘かった。 調査が終わった後に依頼人さんが、「これから会議に行かないといけないから、家の戸締まりをやってくれないか?」って、頼んできたんだよね。 今回の依頼人の家は古くから血筋があるせいかやたら家が広い。 しかも、蔵の方まで開けっ放しなので、そこまで遣ってくれときた。 調査頼んだ人に戸締まり頼むのはどうよって思ったんだけど、急いでいるようだったし、このまま家に帰る予定だったので頼みを引き受け、今に至る。 「やっぱり、傘持ってくれば良かったな」 呟いても後の祭り。 それよりも、帰る方法を考えなければ。 その時、私の中に浮かんだ案は全部で三つ。 ひと〜つめ。此処で依頼人さんの帰りを待つ。 「いや、今日別の家に泊まるから鍵は植木鉢の下に入れといてくれって言ってたな…」 という事でボツ。続いてふた〜つめ。 勝手に傘を借りるのは? あの依頼人さんは、優しそうだから返せば大丈夫だろうけど……泥棒まがいな事はしたくないなぁ。 っとすると、消去法により選択肢は一つしかない。 「……走って帰るか」 幸い私の住んでるマンションは、こっから歩いて20分の所にある。 走れば10分前後で着くだろう。 「よし!!」 私は、立ち上がると家の鍵を植木鉢の下に入れ雨の降る道路に飛び出した。 [次へ#] [戻る] |