コラボ小説
同僚と不審者な僕
「……はぁ。」
何もかもに絶望したと言わんばかりに吐き出されたため息に、俺の眉間に皺がよった。
「何ため息ついてんだ?ついても良いが手は動かせよ。」
「うえ?!あ、すまん。」
そう言って譲は止まっていた手を動かして作業を再開した。
「ん?お前その指輪どうした?」
ふと、俺はその手もとに見たことがない物を発見した。
しかも、はまっている場所はどう見ても左手の恋人が良く付ける位置だ。
「お前婚約指輪付けるような恋人いたのか!?」
「え、イヤー………まあ、ね?」
反応が若干腑に落ちない返答がきた。
何かあるのか。
だが、あえてそれ以上聞くのをやめた。
side譲
じゃあ、あとでなと言って同僚の雄二は去っていった。
「あっぶねえ………のかな?」
思わずほっとしたことに戸惑いつつ、昨日のことを考えていた。
が、やめた。
うん、なんと言うか面倒なんだ。
「さて、デスクワークの前にコーヒーでも買ってくるかな。………っと。」
一人言を呟きながら廊下を歩いていると、ひそひそ声が聞こえた。
「ああ、今回は………ってことで………そっちのを………。」
確かあれは僕の上司の柳さん………だったかのはず。
「ああ、そうしてくれ。後で振り込んどく………まあ、適当で良い。成果さえ出ればな。」
おっとヤベェ。
さっさとコーヒー買いにいこう。
僕はなんも見てません。
聞いてすらいませんぜ?
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