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RE:START(男主)
お化けと復讐@

「おばけ?」


「そう。シオンタウンにあるポケモンタワーに出るんだって!」


「へ〜。それで?」


「兄貴! 一緒に行こうぜ!!」


「やだ」


 そんな会話をいきなり研究所に来たユキナリとしたのは、数日前だ。ちなみに、今コウがいるのは、その話に出ていたタワーの前だったりする。


「……なんで、ここに、いる、んだろ」


 答え、しつこいユキナリに自分が折れたから。


 それでも渋るコウを半ば無理矢理連れてきたことは、過ぎた話だ。


「ほら、兄貴行こうぜ!」


「……」


 ワクワクドキドキが抑えきれないとありありと書かれているユキナリに溜め息を吐きながら、コウは重く感じる足をタワーへと向けるのであった。






 此処まで来るまで知らなかったが、ポケモンタワーとは、死んだポケモンの為のお墓がある場所らしい。今まで、お墓と言う概念をあまり持ち合わせていなかったコウにしてみれば、これだけの墓を見るのは初めてだ。そのせいか、興味津々と言うような状態でそれらを眺めていた。


「すごい、いっぱい」


「まぁ、墓地だからね」


 少し弾んでいるように聞こえるコウの声に、ユキナリは苦笑を浮かべた。ロケット団がガラガラやカラカラの骨を集めるとかでこのポケモンタワーにすんでいる奴らを虐殺したせいで、今タワーにはお化けが出ると噂があったが、やっぱり噂はうわさだったらしい。そう思いながら、ユキナリが階段を上ろうとした瞬間、それは起きた。


「――レ」


「ん?」


「ココヲ、タチサレ!!」


「うわぁぁぁぁ!!」


 いきなり現れたお化けに、ユキナリは悲鳴に近い叫び声を上げながら、コウに抱き付いた。まさか
、本当に出るとは思っていなかったので、驚きは倍だ。今になって襲ってくる恐怖のせいか、ユキナリはまるで金縛りにあったかのように、コウの背中から離れられなくなってしまった。


 一方、コウは背後からいきなり抱き付かれたせいか、多少体が傾いだだが、本人は全く驚いていないようだ。コウは可哀想な程、顔を真っ青にし、ガタガタ震えているユキナリを不思議そうに見つめながら、首を傾げる。


「どう、したの、ユキナリ」


「お、お、お」


「お?」


「お化け! お化けがさっきあそこに!!」


「あれ?」


「ままままだいるぅぅう!! と言うより、なんで兄貴そんなにケロッとしてんの、ケロッと!!」


「いや、あの、場所に、いたよ」


「あの場所ってスラム!? 確かにいそうだけど、出来れば知りたくなかった!!!!」


 ぎゃーと叫ぶユキナリに、コウは呆れながらも、お化けへと近付く。それを見て、さらにユキナリは意味不明な声を上げるが、これは気にしなくていいだろう。


「……ポケモン?」


 微かだが、コウはお化けからポケモンの気配を感じていた。さっきから、ゴースやらゴーストやらをちらちら見ていたから、もしかしたら、それが化けているだけかもしれない。もし、そうなら、訳を聞いてこんなアホな事は辞めさせよう。そうコウは思ったのだ。


 だが、現実は、コウの考えとは全く異なった方向へと進んで行ってしまう。


「兄貴!」


「っ!?」


 なんと、手を伸ばしたコウの体の中に、お化けが勢い良く入り込んだのだ。刹那、ぐるりと視界が回転し、コウは何時の間にか、天井を見上げていた。後からくる鈍痛にやっと、自分が倒れたのだと気付く。


「兄貴、兄貴!!」


 必死に自分の事を叫ぶユキナリの声が徐々に聞こえなくなったと思った瞬間、ぶつりとコウの意識は闇へと飛んだ。





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