RE:START(男主)
どたばたの買い物
あの後、ノアが退去命令を出したお陰で黒服の奴らはいなくなり、全てが平穏に戻った。
シズク曰わく、彼らはロケット団という名の集団で、ポケモンを密流、違法実験、乱獲など様々な悪事を働いている組織らしい。ノアに聞いたら、笑顔で肯定していたし。
まぁ、俺にはあまり関係のない事だが。
そんなこんなでダイルをポケモンセンターで治療した後、俺はコガネシティにある大きなデパートに来ていた。ヨウジと博士の奥さんに、おつかいを頼まれているのだ。
「……で、なんで、それに、お前ら、が、付いて、くるんだ?」
「私も此処に用があったんです!」
「ぼくは、シズクちゃんとコウおにぃちゃんが行くのが見えたから〜。ね、シャイン」
「……ノア様が行くと聞かなかったんです」
「シズクは、まだしも。2人、は、逃げた、方が、良い、だろ」
さっきまで、ラジオとう占拠してた張本人なんだし。
「え〜、ぼくは、まだおにぃちゃん達といっしょにいたい〜!!」
「俺は、お前の、家族を、殺そうと、したん、だぞ」
「ん? あれは、シャインがわるいんだよ。おにぃちゃんはわるくないよ〜」
「ノア様の言う通りです。あの事故は、私の配慮が足りなかったせいです。あれ位の罰は、受けて当然です」
「……シズク。悪者、って、あんなの、なの?」
「……いや、2人が変わっているだけだと思います。そのせいか、何時もの調子でないし、隣に悪者いるのに、倒したいって思わないし!」
「後半、どうでも、良い」
「今、シズクちゃんのガラスのハートにグサッて刺さった!!」
うぅと胸を押さえているシズクを無視しつつ、やっと合点がいったと頷く。そうか、やっぱり普通の悪役なら、周りを巻き込んでなんぼだよな。こいつらが真面目過ぎるだけなのか。
「ノア、良い子?」
なでなで。
「コウおにぃちゃんにほめられたー!」
「いや、絶対疑問系だったから。語尾の後ろに?マークついてたから!」
「黙れ、女」
「うぉ! いつの間にか、私に対するシャインくんの対応が、がらりと変わってるんですけど!?」
「……もっと、静かに、買い物、したい」
「ブイブイ」
ぎゃあぎゃあ騒がしい外野に、溜め息を吐いていると、頭の上に乗ったトウリが同意してくれた。ちなみに、ダイルはボールの中だ。出たい出たいとさっきからガタガタとボールが揺れて煩いが、軽く叩いて黙らせる。
ポケモンセンターに行ったとしても、ダイルは怪我をしたのだ。少しでも休んだ方が良い。
「トウリ、他、ほっと、いて、行こうか」
「ブイ」
「おにぃちゃん、待って〜」
「ノア様。走ったら危ないです!!」
「あ、私を置いてかないで下さい!!」
さっさと済ませて帰ろうと、踵を返したのに、付いて来る3人。周りの視線が痛いのは、きっと気のせいではないだろう。
(なんで、こんな事になってるんだ)
はぁ、と俺が額を押さえながら溜め息を吐いたのは、言うまでもない。
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