RE:START(男主)
コガネシティへ!
穏やかな陽気のある日。そのお願いは突然された。
「……え? コガネ、シティ、ですか?」
「そう。ゴガネシティの中にあるラジオとうにいるオーキド博士から資料を貰ってきて欲しいんだ。飛行要員は用意するし、少し世界を見てくるのには丁度良いと思うんだけど、どうかな?」
「はぁ」
俺は、空返事に近い返答をする。
まさか、そんな遠い所までお使いに出されることになるとは。まぁ、確かに、こちらにきて半年近く経ったが、近くの街に行くだけで、そこまで遠い所には行ったことがなかった。
旅はそんなに楽なものではないだろうが、ダイルとトウリと共になら、楽しい旅になるような気がする。
校外学習だと思って少し行ってきますか。
「分かり、ました。行って、きます」
「そうかありがとう! じゃあ、これに一式旅の道具は入ってるから。それと、これが飛行要員の入ってるボール」
渡されたリュックを見て、俺は溜め息を吐く。用意周到過ぎる。俺が行くって言わなかったら、どうする気だったんだろうか。しかも、まだ博士はごぞごぞとやっている。今度は何が出て来るんだ。
「あと、これも一緒に連れて行って欲しいんだ」
そう言って、博士が出したのは、ポケモンのたまご。ポケモンじいさんから俺が預かってきたのとは色が違うから、また別のたまごだろう。
「どうして、俺に?」
「どうやら、ポケモンのたまごはトレーナーと共にいた方が孵化が早いみたいでね。この子はまだたまごだけど、色々な世界を見たいだろうしね」
博士の言葉に呼応するかのように、ことりと動くたまご。うん。素直だ。
「分かり、ました。連れて、行きます」
「助かるよ。それじゃ、よろしくね」
「はい」
俺は、博士から渡されたリュックを背負うと飛行要員が入ったボール、それと、たまごを入れたショルダーバックを持って庭へと向かう。今の時間なら、ダイルとトウリはそっちにいるだろう。
「ダイル、トウリ」
「ワニ!」
「ブイ!」
呼ぶと真っ先に駆けてくる2人。ダイルは、飛び上がると共に噛み付いてこようとしたのでチョップで沈めておいた。たく、油断も隙もない。
「ワ〜ニ〜」
「ブイブ」
「トウリの、言う通り」
お前が悪い。と言うか、その噛み癖なんとかしろ。そう思うが、きっとダイルの事だから治らないだろう。
オーダイルになった時もこんなんだったら、俺はきっと死ぬな。
そんな事を思いながら、博士から預かったボールから飛行要員を出す。どうやら、博士が貸してくれたのは、カイリュウのカイリみたいだ。世話好きなのか、いつも小さなポケモン達の世話をしている、良き母だ。
「2人共、ゴガネ、シティ、に、行くよ」
「ワニ?」
「おつかい。ついでに、少し、外を見て、こよう」
「ワニ!? ワニワニワニ!」
「ブーイ」
本当? コウと一緒に旅ができるの!?
まぁ、あなたが行きたいなら、私も行くわ。
それぞれそう言ってるようで、俺は笑みを浮かべる。
「よし、行こう」
2人をボールに戻し、カイリに飛び乗る。次の瞬間、ふわりと感じる浮遊感。そして、どんどんとワカバタウンが遠くなっていく。
「行って、きます」
研究所から出てきた博士とヨウジに向かって呟くと、カイリは綺麗に輝く太陽へと羽ばたいていった。
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