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プリマ☆ステラ〜P☆S.A.S〜
ツンデレと……あ、阿修羅!?


「静歌ー、いくぞー」


「はーい」


「………それにしても、板に付いてきたものね」


「は……?」


「……? なぁに、雅ちゃん?」


だらだらと授業を終え、放課後。

ここからが俺の本番とも言える、部活の時間。
いつものように軽く声をかけ、鞄を持った静歌が急ぎ足で俺の隣へ並ぶと、雅がしみじみ呟いた。


「気付いてないの? まぁ分かっていればやらないわよね。アンタたちの場合」


「何の話だ?」


「その寄り添い方、ちょっとしたものよ? まるで息のあった若夫婦みたい」


「わ、わか……」


「う………」


「自然に出来ちゃってるところがまた、見ていて微笑ましいわ♪」


「わ、私はそんな別に! よ、呼ばれたから………」


「………まったくだ。何でもそういう方向へ持っていくんじゃない」


「はいはい、ごめんあそばせ。でも顔が赤いわよ、騎士様?」


「………」


「………っ」


 確かに、隣に並ぶ静歌の肩は、拳一つ分も離れていなかった。

それを確認した俺達は、お互いに一歩づつ距離をとる。


「あらまあ。意識させちゃった? いいのよ、続けて続けて」


「み……雅ちゃ〜ん」


「ふっふっふ♪」


 余裕の表情で、俺達の反応を楽しむ雅。

今日の雅はずっとこの調子で、よほど俺達の関係が周知になったことが面白いようだ。

辺に隠したり、必要以上に人目を気にしなくなった俺と静歌にも、からかわれる隙があるんだろうけど………このままじゃな。



…………よし。


「別に静歌だけじゃないぞ。あれ以来、仲良くなったのは」


「へぇ? どこにそんなお相手が?」


「おいおい、何言ってんだ───雅。お前だってもう、大事な友達だろ?」


「………っっ!?」


 我ながら下手くそな反撃だなあとか思いつつも、雅の顔を直視したまま思いっきり覗き込んでやる。

────ここだけの話、兄貴から雅が案外恥ずかしがり屋であることを聞いている。

また強い押しに弱く、ちょっとでも深くほめられると顔を赤くしてしまうというのも入寮初日の食堂で確認済みだ。


ともかく、ここで笑って流されようが効果があろうがどちらも良しといったところだろう。


「なっ、なにっ、私はべつにそんな───」


「色々と力を貸してくれただろ? 嬉しかったよ、本当に。それに最近は兄貴となかなか上手くいってるんじゃないか?」


「べ、べつにアンタのためじゃないわよっ。勘違いしないでよね。そ、それに悠輔さんのはたまたまの事故で────」


「え………」


「…………はっ!?」


しかし、効果は抜群。

雅の口から出てきたのは、余裕たっぷりの切り返しではなく………どうみても、照れ隠しの憎まれ口だった。

あまりの急展開に俺も焦る。


「……い、いやおまえ……雅、それは」


「うっ……うるさいわね。いきなり顔を近づけてくる晃輔が悪いんでしょうが、それに………あの事まで」


 最後の方はよく聞き取れなかったが、そんなのは関係ねぇとばかりに雅は続ける。


「だいたい、私をからかおうなんて、晃輔のくせに思い上がるんじゃないの。まったく………」


「そ、それも似たようなテンプレゼリフ───」


「やーっかましーっ!!」


俺にからかわれたことと、変な反応をしてしまった悔しさからか、いかにもお嬢様らしからぬツン○レ口調の切り返しでツッコミをくれた。


────正直、こんな雅も悪くないかも。

兄貴に言ったら殺されるかもな。


「いいわもう。私も部活にいく」


「お、おう。がんばれ」

「ふんっ」


 怒りながら、お嬢様らしからぬ大股で教室を出て行く雅。

たぶん耳まで赤くなっていることだろう。


「───それじゃ晃輔さん? 私たちも行きましょうか」


「ああ、そうだな………うお!?」


「どーかしましたかあぁ? こーすけさんっ」


「あ、あぁ……いやぁ」


「うふふふふふ……♪」


 怒っている、笑っているけど怒っている!?



それに後ろに見えるのは………


あ、阿修羅!?


 雅の背中を見送って、静歌の声に振り向けば。
そこには、いつもよりちょっとだけ黒いオーラを醸し出す満面の笑顔があった。



………どうやら今のが気に入らなかったらしい。


「さぁ、私たちもプールへ向かいましょう?」


「し、静歌!? い、今のは軽いジョークであって……」


「ええ、わかってますよぉ? ええ、ええ、わかってますとも。うふふふふ♪ べつに、なんっにも思ってませんからぁ。ささ、行きますよ?」


ガシッ………!


「うわ!? わ、わかったからっ!! 引っ張るなって……!」


──────







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あきゅろす。
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