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プリマ☆ステラ〜P☆S.A.S〜
いや、そういう意味じゃ……


「おはようございます、晃輔さん」


「おはよう」


「姫様、騎士様。おはようございます!」


「はい、おはようございます」


「お……おはよう」


 慣れない………こんな呼び方、慣れるはずがない……。

今日は俺と静歌だけの二人での登校となっていた。

 頼れる兄、はたまたエトワールの救世主様こと俺の兄貴、榊悠輔は朝練習のために早く学校へと出かけてしまった。

そのため、全生徒の視線が俺ばかりに集まるのだ。


「………まだ慣れませんか?」


「当たり前だろ、これでも頑張って返せた方だ」


「ふふふっ……♪」


────エトワールへ留学してどのくらいの日数がたっただろうか。

朝の通学路を整然と歩いている、白い制服のお嬢様達。

初めてここに来たときは、次元が違う、もしくは異世界に迷い込んだのではないだろうかと思ったほどであったこの場所。

 しかしそれも当たり前のように過ぎていき、すれ違っていく中には挨拶をしてくれる者や、手を振ってきたりする者もいる。


………あっ


「笑ったな、ひとごとだと思って」


「そんな、違います。そういう意味じゃありませんよ」


「ホントか?」


「手の振り方がなかなか様になってきたなぁ、と思って」


 手の振り方か、確かに留学初日は俯いたままだったっけ。


────あの、朝礼会での一見を経てこのように歩くのが、ごく自然のこととなった。

以前は好奇と奇異の目線ばかりがほとんどであったが、今では校門に近づくと話をする暇を見つけるのが困難になるくらいだ。


俺はふと、静歌へと視線を移す。


あの保健室での出来事、俺は初めて女性に好きだと言われたのだ。

 明確に返せなかったものの嬉しいことには変わりなかった。

しかし、曖昧な答えで返してもいずれ静歌を傷つけるだけだ。

いつかは必ず……!


「………?」


 とにかく、これからはエトワールに来た理由でもある水泳に、一生懸命打ち込まないとな。


「あ、あの……晃輔さん?」


「ん?」


「あまり、ジーッと見つめられると……そのぅ」

「あ……」


「あはは……どうかしましたか?」


 どうやら俺が物思いにふけつつ、静歌を見ていたことが気になったようだ。


「……すまん、身体の具合はもう大丈夫か?」


「えっ……?」


「いや、あの保健室の───」


「───!? ぇぅ、あ、えぇ!?」


「あ……」


 俺は言ってから自らの過ちに気がつく。

今の言い方では、アッチのことだと思われても仕方がない。

静歌の顔が赤く染まっているのが、何よりの証拠だ。

本当はもっと別の言い方をするべきだったのだが、保健室のことと言ってしまうと間違えられてもおかしくないのだ。


「あ、あのな静歌!? 今のは……」


「……ぅぶ、ですよ」


「へ……?」


「まだちょっと、晃輔さんの感触が残っているみたいですけど。痛んだりはしませんから、大丈夫です」


「………っ」


「………♪」


 背伸びをした静歌が耳元でささやいて、クスリと照れ笑いを浮かべる。

そのときにかかった、温かくも小さな吐息と良い匂いが押し寄せてしまい、動くことができなかったのだ。


「だ、だから、そういう────」


「わかってます、私も自分で言って恥ずかしかったです」


「…………」


 いや、立派になられたことで。


「───ごきげんよう、騎士様。相変わらず姫と仲がよろしいことで」


 ゲッ、この声は────







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あきゅろす。
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