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プリマ☆ステラ〜P☆S.A.S〜
二度おいしい……



「え、え……や、やだっちょっと!」


「ははくほいてくふぇー!(早くどいてくれー!)」


「ひゃう。く、くすぐったい〜」


 目の前に雅の豊満な胸があるからか。まともに喋ることが出来ずにいる俺は、何とか自力で脱出することにしたわけだが……まともに身動きがとれずに雅が退いてくれるのを待つことになってしまった。

 男としての感想はもう少しこのままで居たいなどと思ったりもするわけだが、ド変態とは思われたくないために何とかポーカーフェイスを保ち危機を乗り切った。


「…………」


「…………」


 かなり気まずい空気が流れ、何か話題がないかと想像を巡らす。でもさすがにあんなことなったら気まずくなるよな……。


「あの……男の人ってやっぱり大きい方が好きなのかしら?」


「い、いや……別にそうでもないと思うけど……何で急に?」


──正直な話、雅の口からそんな言葉が出るとは思わなかった。その前に案外雅って大胆なんだろうか。


「そう……」


「???」


 ますます訳が分からなくなってきたぞ。一体雅は何が言いたいのだろうか。俺からそっぽ向いてコソコソしているし……うーん分からない。


「あ……もうこんな時間、それじゃあね!」


「え、あ、おい!」


 徐々に小さくなる雅の姿をただただ呆然と見つめる俺。そのせいか疲れもだいぶ和らぎ、普通に歩いたり走ったりするぐらいまでに回復していた、疲れていることには疲れているけど。

───今日、改めて自分のレベルを再認識した俺は再び走り始めた。いきなり情けないところを見せてしまったのだが、下を向くわけには行かない。おそらく晴香先生は俺の今日のタイムと走り方を見て、崩れているところ……筋力はもちろんフォームを完全に把握したのだろう。それに応じた練習メニューをくんでくれた。

───100mを走るにあたって必要なのは全身の筋肉。案外足だけと思われがちな短距離だけど実はそうではなく、腕の振りやキレイなフォームを保つためには全身をフルに使う。大会とかで休憩や間があるにも関わらずタイムが落ちる場合があるのはそのためだ。とはいえどもすべての原因がそこにあるわけではない。


「さて……と、明日からはもっと本格的な練習か」


 落ち込んでいる筋力やフォームを元に戻すためだろう。明日からは毎朝晩のランニングと筋トレもばっちり表にして渡してくれるとのことだった。ある意味、そんじょそこらのサッカー部とかの監督よりも鬼だよな……晴香先生。


「とりあえず寮に戻ろう。体冷やして風邪でも引いたら洒落にならない」


──…


「あ〜、寒かった」


 エトワールの寮に戻った後、食堂に行く前にシャワーを浴びることにした。


「随分体は疲れてるんだな、ギシギシいってやがる」


 苦笑いを浮かべつつも、ようやく始まった練習に俺は期待を募らせる。シャワーがこんなにも気持ちいいと思ったのは久し振りじゃないだろうか。


「ふぅ、さっぱりした……ってあれ?」


 タオルがない? ち、ちょっと待てまさか点検忘れたのか。朝とかはちゃんとおいてあったのに……勘弁しろよ〜。

───さすがにタオルがないのは予想していなかった。静歌とかは勝手に整備してくれるとか言ってたのに置いてないと言う悲劇……。


「お〜い、こんなゴッサムのなか俺を一人にするなよぉ」



ピンポーン♪


 どうしようか迷っている刹那、インターホンが鳴り響く。バスルームに入っている俺は声だけをあげて訪問者が誰なのかを確かめることにした……すると。


「ゆうく〜ん、晩ご飯いかない? こうちゃんたちも今行ったよ〜」


 久住だった。とりあえず今の状態を伝えないと───


ガチャン


「わー!!! 鍵閉めるの忘れてた、待ってくれ久住!」


「ふやぁ!?」


 突然の声にびっくりしたのか、入ってきたとたんにその場にすっころんでしまった久住。軽く頭をうってしまったのか、オデコのあたりをさすっている。どうやら前かがみに倒れたらしい。仕方がないため、着ていた服を下半身に巻き、びしょぬれのままバスルームから出た。


「大丈夫か?」


「ふえぇん。またぶったぁ!」


 ああ、朝俺と晃輔に何回かぶたれたっけ、まぁドンマイだな。


「うぅ……あれ? その格好どうしたの?」


 ふつうすぎる対応に呆れながらも取りあえず事情を話す。


「うん、だったら私が借りてきてあげるよ」


「マジで!?」


「た・だ・し……」


「ただし?」


「こうさせて♪」


「£@§¥¢※∈!!?」


 久住の身体が浮いたかと思うと、そのまま俺に抱きついてきた。くっ……まずい久住の胸が体に、このままじゃバレちまう……


「あ……」


「…………」







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