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プリマ☆ステラ〜P☆S.A.S〜
貴方への思いを…



「ふむ……」



 緊張する、果てしなく緊張する



 あの時もそうだったけど、やっぱり緊張する。



 とりあえず………もう一回言っておく



 めちゃめちゃ緊張する。



 つまりは全国大会の時よりも緊張している


 何だこのプレッシャーに弱いかす野郎と言われても仕方がない、これが俺の気持ちなんだろうから。


 悠の時は完全に雰囲気に飲まれた気がするけど、今回は違う。完全な俺の本心だ。


「弱いなぁ俺、これじゃ単なるヘタレじゃん……」



 自分でも認めるほど、今の俺がヘタレなのは誰が見ても一目瞭然だ。



 ────彼女が時折見せる屈託のない笑顔


 ────恥じらいながらも、影でサポートしてくれる優しさ



 相手がどう思っていようと、知ったことではない。


 芽生えてしまったこの感情は決して消せることは出来ない。


 たとえダメだったとしても、ここで言わなければ俺が俺では無くなってしまう気がする。


 ────そう、彼女に


 この思いを伝えたい。





────…





「…………」



コンコン...



「どうぞ」



「入るわね」



 どことなく、気まずい雰囲気の中に雅が入ってくる。



 好きでこんな雰囲気をつくっている訳ではない



「………」



「………」



「何か用があったんじゃないの?」



「あ、あぁ……」



 やれやれといった感じで俺の隣に座る雅。


 一番近いところにいることで、自身の胸打つ音が大きくなる。








─────ダメだ、言えない










 本能がそう悟ってしまった



 今の俺はどんな顔をしているのだろうか、見るにたえない顔をしていたに違いない。


 そんな時だった────



「本当に短かったわね。あなたたちと一緒にいる時間……」



「え?」





 ────刹那



 俺がエトワールにきてからの記憶が全てフラッシュバックされる。


 あぁ、そうか……



「そうだな……」



 はじめは長いと思っていた留学期間もあと少し



 期間が短かった訳ではない



 毎日が……



 皆と共に歩み、過ごしてきた日々が充実していたのだ。



 時を忘れて、打ち込んだ練習も



 今思えば遙か彼方昔にも、つい最近のことにも思える。



 その中の全てで、俺はどのように生きてきた?



 面倒なことから逃げてきた?



 ────否



 イヤなことを全て人に任せてきた?



 ────否




 全て自分で解決してきたじゃないか。



 今ここで逃げてどうする



 芽生えた想いから逃げることで、踏みにじってどうする!!!






 俺は誰だ!!






 榊悠輔! 現実から目をそらさないと誓った男だ!!


















「雅……」



「?」



「短かったよな、本当に……」



「えぇ……」



「俺さ、好きな人がいるんだ……どうしようもなく素直じゃないけど、小悪魔なその子が」



「………」



「今なら言えるかもしれない。いや、今言わなきゃ俺は一生後悔する気がするんだ」


「………ッ」
















「雅、お前が好きだ。愛している」



「悠輔……」



「友達としてじゃない、一人の女性として、雅を愛している……」



「…………」



「…………」



「…………」



 言うことは言った。後は雅の答えを聞くだけだ。



 ────そして








「本当にあなたって唐突ね……断られるってことを想定してなかったのかしら?」



「────たとえそれが真実だとしても、俺は構わない。想いを伝えたことに後悔はない」



「本当に私なんかで良かったの? 巴とか悠さんとかの方が……」



「雅だからだ……他の子が言ってきたとしても、俺は断っていたよ」



「…………もう」




 胸に重みがかかる、その正体が雅だと気がつくにはさほど時間はかからなかった。



「私も、あなたのことが好きよ……私を選んでくれてありがとう……悠輔」



「あぁ……」



 抱き寄せる腕に力が入る。



「雅、良いな?」



「えぇ……」




 俺はそのままベットの上に雅を押し倒した──────







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あきゅろす。
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