機動戦士ガンダム SEED ARTEMIS
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C.E.75年。デュランダル議長を筆頭としたザフト軍と、オーブ軍を主力としたデュランダル議長の掲げるデスティニープラン反対派との決戦から2年の月日が流れていた。
―――
「状況は?」
艦橋の扉が開くと共に白い隊長服に身を包んだ青年が自身の座る隊長席へと飛び移りながら近くのオペレーターに尋ねる。彼らはプラント周辺宙域の哨戒任務を行っている所だった。
「静かなもんだよ。あの大戦からこっち、うちも含めてどこの国もかなり疲弊しているからな。何かある方がビックリってもんさ」
青年の問いにオペレーターから先に報告を受けていたらしい艦長席に腰かけていた隻眼の男が振り返り様に答える。その受け答えには立場が上の者に対する敬いは一切感じられないが、それは決して隊長である青年を舐めているわけではなくこの男元来の性格によるところが大きい。
その証拠に、その男の横で燃えるような赤髪を有した彼の副官である青年が変わらない態度に頭に手を添えて大きな溜め息をついていた。
「わかりました。哨戒エリアもここまでですね。みんなも交代で少し休んでください。これよりヤマト隊は哨戒任務を終了、エターナルは回頭してプラントに帰還します。」
報告を受けて隊長の青年が締めくくる。指示を受け慌ただしくなった艦内を静かに見詰めるその青年こそ、かつての大戦の英雄。キラ・ヤマトであった。
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