■TRIPPER
5*
「ぁッ、……ぁあっ……、や、……いや……、っ……」
もう何が何だか分かっていないようだ。
ふわりと頭を撫でてやると、少しホッとしたように涙の溜まった目で見上げてくる。
どうやら必死に絶頂を堪えているようだ。
唇を噛みしめて、足も腰もガクガク、ブルブルと震えているのに、未だ達する気配がない。
考えてみれば、他人に触られて初めて絶頂を迎えるのだ。
無意識に我慢してしまっても仕方ない事だろう。
なので……
「我慢すんな。イッていいぞ?……ほら、ダメ押し……な?」
と、チュッと軽く乳首を吸い、舐めた。
「ぁ、…ぁ、ぁ……っ!……」
その刺激に男は一瞬泣きそうに顔を顰め、……グッと唇を結び直したのだが、もう我慢も限界だったようで……。
すぐにパタパタッと俺の手に精を吐き出した。
は、は、と荒く呼吸を吐き出すのに合わせ、振動でポロリと涙が頬を伝う。
ああ、その顔すげーいい…と思いながら、その涙を拭ってやり、くしゃくしゃと頭を撫でた。
ティッシュなんてものはなく、もう片手に残る残滓の処理に困っていると、
「俺の、服……で拭っていい……」
と、掠れた声で男に言われる。
射精を必死で堪えていたせいか、グタリとベッドに横たわり、撫でられるがまま。
それにしても、こんな綺麗な布でなんて拭えない。
見るからに、高級そうな布地を使い、細かに刺繍された服。
意外と、凄いヤツだったりしてな……。
俺はそんなことを思いながら、男のズボンを脱がした。
勿論、それで拭うわけではない。
だって、……有効活用しないと勿体ないだろ?
「な、な、なにっ、して!」
ゴロリと男を腰から横向けに倒し俺の足で固定する。
男も、その行為にはギョッとしたようで。
慌てて、静止しようと身体を起こそうとした。
しかし如何せん両手は拘束されていて、下半身は俺にホールドされている。
当然、ガチャリと大きな音を立てるに留まった。
身動きの取れないことを知り、恐る恐る声を出す男。
「……ま、まだ、やるのか?」
あー……そんな不安そうな声出されると、ちょっと興奮する。
「……まぁまぁ、気持ちよくしてやるから……、」
怖がらせたいわけではないため、その興奮を気合で押し殺し、男の身体をゆっくりと撫でる。
そうやって快感を煽りながら、残滓を指に絡め、指で数度入口をなぞった。
「頼んでな、っ、ぁ……や、やっ……」
ぐちゅりと中指を差し込む。
「っ!……ぅ、……」
浅いところをヌクヌクと刺激して、ゆっくりと指を進めていく。
刺激に対して勝手に反応するのか、ヒクヒクと蠢(うごめ)くソコ。
非常にエロい。
「おー……エロいな。」
思わず口から零れた感想に、真っ赤になる男。
「ぁ、……っ、いや、だ、……みるな、っ……」
おそらく、気持ちいいのだろう。
初めての感覚に戸惑いながらも、確かに感じる快感に抗えずにいるようだ。
ぶわりと鳥肌が立ったかと思えば、漏れる声に、だんだんと色が乗ってくる。
「は、……ぁ、……も、勘弁、してくれ……っ、」
「んー……もうちょい、奥……かな?」
「……な、なにが、…だ……、…ぁ、ッ!」
「お!ここ?気持ちぃ?」
「ぁ、…ぁあっ!……ん、んんっ、……、ッ……」
指先で中を刺激しながら、前立腺を探していたが、ヒットしたみたいだ。
びくっと大きく腰が跳ね上がり、男自身も驚いたように俺を見る。
ニヤリと笑う俺。
それを見て、何をするか分かったのか、男は逃げるように腰をずらす。
そんな男の耳に、宥めるようにキスを落として、再度そこを押しつぶした。
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