■ロストメモリー
9*
そこから先はもはやグズグズだった。
ハ、ハ、とお互いに息荒く、伝う汗の匂いにすら興奮する。
唇を合わせ、離したかと思ったら、また噛みつくようにキスをして…。
頭の奥の方が、グラグラ、じんじんと痺れて、気持ちよくて、…泣けた。
中山は、器用なのか何なのか、とても上手だった。
料理上手は床上手っていうけれど、ここまで的確に触られたら、身体も骨抜きだ。
初めてだっていうから、俺が頑張んなきゃなんて思っていた自分がバカみたいだ。
それによく考えてみれば、俺だって男は初めてだし、まして受け入れる方っぽいなんて…。
「先輩。何考えてんスか?」
「んんッ…な、やっ…そこ、そこ、だめって…」
「…ミネ先輩、ハッ…、超可愛い。」
ぐちゃぐちゃと、耳を塞ぎたくなるような音が、俺のケツからしているのだ。
つか、お前、なんでローションとか持ってんだよ。
本当に感じるのかと、半信半疑だった俺は、過去の自分を殴りたい気持ちでいっぱいだった。
…感じるどころの話ではない。
自分じゃなくなってしまうような、強烈な快感。
もう、おかしくなりそうだ。
「くそ、ぁっ……絶対、ッ…たろも、……あんあん言わせてやる……ン、」
意図が分かったのか、少し複雑そうな顔をする中山。
といっても、別に中山に突っ込みたい願望があるわけではない…こともないが、とりあえず、俺ばっかり気持ちいいのは嫌だった。
俺に突っ込まれて、気持ち良くなってボロボロ泣く中山は、ひとまず置いておいて、手探りで中山のブツを探す。
「ちょ、ミネせんっ…待って、まってって……ッ!」
焦って、そんなことをいう中山を、まるっと無視して、きつくなったのか寛げられているソコに手を伸ばした。
「ま、待って!…ほ、ホントにっ……っ、ぅう……」
「え?」
「っ、も……だから、待ってって……」
思わず身体を起こした俺に対して、情けない泣きそうな顔をする中山。
掌に伝わった感触から、おそらく中山は達してしまったらしい。
ヤバい、超可愛い。
ごめん、とか、気にすんなよ、とかいう言葉を発する前に湧いてきたのは、この気持ち。
耳まで真っ赤にしてるとことか、泣きそうな顔をしてるとことか、でもまだ欲情した目をしてるとことか…。
「……堪んねぇ。」
抱きついて、キスをする。
「ん、んんっ、…ぁ、みね、せっ……ん、」
「ん、んン、ハッ……気持ちいか?」
濡れた下着の中に手を忍ばせて、扱く。
達したばかりだというのに、完勃ちしているソコに顔を綻ばせながら、ゆるゆると手を動かした。
そんな俺に、何を思ったのか、再度ベッドに押し倒してくる中山。
「なんだ…ッ……ぅ、ン、んんッ」
思わず片手で中山に掴まって、咄嗟に閉じてしまった目を開いて、何だよ、と問おうとした矢先、噛みつくように落とされた口づけ。
中山を弄っていた方の手も取り上げられて、ベッドに縫い付けられる。
そして仕返しと言わんばかりに、先程まで弄られていた場所に、また指が入れられ、性急にぐちゃぐちゃとやられた。
ン、と声はすべて吸い取られ、びくりびくりと断続的に跳ねる身体。
「ん、あぁっ!そ、そこっ……たろッ……」
「っ、ハッ……せんぱい、せんぱ、い……」
切なそうな声で俺を呼ぶ中山。
どうやら、仕返しと言う訳でもないらしい。
ハ、ハ、と息を荒げながら、待てないとでもいうかのように、至る所にキスが降ってくる。
だから、欲しい言葉を言ってやる。
「いいって、も…、ぁ……いれろっ、って……ぁ、ン」
「で、でも……まだ、ゴム……」
「…付けて、やるって………、……ほら、な?も、多分、はいる、から……ぁ、んんっ…」
俺がそう言うやいなや、ゆっくりと、でも結構強引に腰を進めてくる中山。
がっついてんな…とは思ったものの、それが嬉しくて堪らない俺は、痛みを和らげるように、大きく息を吐き出す。
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