■ロストメモリー
8*
「つーかさ、この前のは、お前が上書きしたんだろ?」
「え、」
「ああ、そっか、そう思ってんの俺だけだったわ。」
「え、ええ!?」
以前俺が男に襲われて記憶が欠落していたとき、思い出させようとして中山が行った行為。
記憶喪失の原因になる程に酷い記憶(と、中山が思っていた訳だが…。)をすり替えようと俺を抱こうとした。
それは俺が記憶を思い出していたため途中で終わったし、中山に触られたのは俺にとっては良い記憶なので、勝手に上書きされた、ということにしていたのだ。
だから、まさかそんなことを気にしているとは思いもよらなかった。
「あのさ、俺も男だし、自分でいうのも何だけど、結構図太い正確してる訳。何でもねーの、あんな事。」
「で、でも……」
「あー、なら、今上書きしようぜ?な?」
俺はそう言って、中山を引っ張り唇を塞ぐ。
驚いた顔をする中山に、薄く笑って、チュッと軽い音を出して離した。
「口、開けて。」
呆けているのか、素直に口を開く中山。
俺はそれにクツクツと笑って、舌を潜り込ませる。
「んっ!…ん、ぅ……ん、」
ビクッと中山の肩が跳ね上がるが、クシャクシャと頭を撫でてやると嬉しそうに微笑む。
あー…可愛い。
そんな事を考えていたら、中山に後頭部を支えられ、俺の口内も舐められる。
擽るように上顎を撫でられて、思わず中山の服を掴む手に、力が入った。
「んん、……ん、ぁ、……ンん、」
舌を絡められ、ジンジンと頭が痺れる。
…気持ちいい。
チュッ、チュッ、っと軽いキスを幾度かして、ハァッと息を吐き出した。
たったこれだけで、身体が、吐く息が熱い。
中山と視線が交わると、更に体温が上がる気さえした。
「…ミネ、せんぱい……」
「…もっと、」
俺はそう言うと、また中山を引っ張る。
逆らわず傾いでくる中山の首に手を回し、口づけた。
中山はそれに目を細め、俺のうなじを遊ぶように弄りながら、舌を潜らせる。
ボスンと沈むベッド。
中山の体温が熱くて、妙に興奮した。
腹に猛々しいものが当たっているのもいい。
妙に嬉しくなってしまう。
「ふはっ、ガッチガチ…」
「っ、そ、そんなこと言って、ミネ先輩だって…」
「だって、超興奮してっし。お前のこと好きだし。」
顔を真っ赤にする中山が超絶に可愛くて、ニヤニヤとにやけながらソコにこすり付けるように体を摺り寄せる。
「ちょ、ちょ、ミネせんぱい」
「んー?」
気づかないふりをして続行。
ワタワタと慌てる姿が面白い。
「お、俺、その、は、初めてで……その、」
…が、頑張ります、なんて、クッと口を引き結び、真っ赤な顔で言われた瞬間、パチンと頭の中で何かが弾けた。
カーッと頭に血が上った感じがして、心臓が鳴りすぎて痛い。
ガンガンと身体中に血が巡り、情けない話、興奮で手が震えた。
きっと顔なんて真っ赤だ。
「う、ぁ……何か、一気にキた…。」
「え、え?な、何で……」
混乱気味の中山の耳にキスを一つして一度身体を離し、性急に中山のシャツのボタンをはずしてゆく俺。
それに倣うように、戸惑いながら中山も俺のパーカーのジッパーを下げてゆく。
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