■耳から始まる恋もある!
14*
「理由も分かったし、俺と付き合ってもいいだろ?」
「…駄目、です。」
「…何で?」
「…、…、…俺、…こ、声…」
「…ん?」
「…こ、声フェチ…なんです。」
「…は?それって、俺の声が嫌ってことか?だから付き合えない?」
「ちがっ…そ、そうじゃ、なくて…」
「…ちがうっつっても…、…あ、…ああ、成程な。」
会長は一人で何か納得すると、俺から一旦身体を離した。
やっぱりか…と、俯く俺。
分かっていたことだが、結構キツイし、凄く悲しい。
と、そのとき、
「…那須、」
と、随分近くで声がしたと思ったら、そのまま抱え上げられた。
俗に言うお姫様抱っこ。
「え、は?ちょ、おろして…」
「嫌だね。部屋、どっち?お、こっちか?」
身体をよじるも、それを苦にした風でもなくヒョイと俺の部屋、しかもベッドの上へと運ばれた。
「な、なにすっ…ん…っ…ぅ…」
ベットに降ろすなり、組み敷かれ、キスされる。
甘っちょろいキスではない。
舌が入ってきて、口内を掻きまわされる。
「ぁ、…や、…なにっ…ん…」
離されたと思ったら、唇を舐められ、言いたいことも言えずにまた口を塞がれる。
「ん、ん、っ…んぅ…」
「は、…気持ちいいか?」
「…ぁ、え、…」
キスなんて初めての俺。
恥ずかしい話、未だ彼女歴イコール年齢な俺は、いきなりのディープなキスにすっかり腰砕けになっていた。
ぼーっとしながら、訳も分からず頷く。
正直、気持ちがいい。
フワフワと頭がぼんやりして、身体の底からジワジワと快感が這い上がってくる。
そんな俺に、会長は笑って、目元に小さくキスを一つ。
「お前、俺の声好きなんだろ。声フェチのお前の眼鏡に叶うとは、流石俺の声。こんなになるくらい、いい声か?」
「…え、…、…っ!やだ、」
会長が触れたのは、俺自身。
ヤワリと軽く揉まれ、ん、と思わず声が漏れる。
慌てて会長の手を引き離すと、逆にその手を掴まれ、導かれた。
「な、なに…」
「ほら、触れよ。」
「…え、…あ。」
触れたのは会長の下半身。
既に戦闘モード。
しかも、デカい…。
呆気にとられたような表情のまま固まっていると、クツクツと笑い声が降ってくる。
「分かったろ?好きなんだから自然な事だ。それに…、…声で感じるなんて、最高じゃねぇか…。」
「っ、…ん、ぁ…!」
何か響きもエロいよな…と、またワザと声を低くして、耳元で喋ってくる会長。
耳にかかる息と、会長の体温、それに声まで加わって、ゾワゾワと背中に駆け上がるモノを止められない。
加えて、俺のモノには俺の手に会長の手が添えられる形で、柔らかくだが、揉まれていた。
その状況に変に興奮していて、息が乱れ、ガクガクと歯の根が合わさらない。
あ、あ、…と喘ぎが漏れて、でもそれを気にする余裕も無く、だらだらと口から唾液が漏れた。
その唾液を舐め取って、
「ホントに弱いんだなぁ。」
と嬉しそうに微笑む会長。
「なぁ、那須。」
「…へ、ぁ、…な、なに…」
目尻から流れる涙。
吹き込まれる息に、がくがくと震える身体。
それでも、会長の声を俺の耳は拾っていて…。
「…お前が好きだ。」
「ぁ、そこで、…しゃべ…んっ…」
ブルッと身を震わせると同時に、耳から全身に会長の声がジンジンと広がって、遅れたように脳が理解する。
なんだ、これは?…幻聴?
全部バレてしまったのに…?それでも…?
駄目だ。
…嬉し過ぎて、涙が止まらない。
「…那須…、好きなんだ、」
「あ、あっ…ぉれも、…っ…おれも…」
「…俺も何だ?」
「っ…ぁ、…れも、…すきっ…です…」
言い切った途端に、凄まじい快感に襲われる。
俺のモノを会長が扱きだしたからだというのには全く気付かず、喉の奥から甲高い嬌声を上げてしまう。
その声に、会長は笑って、キスを顔中に降らせてきた。
駄目だ…、なんていうか…恐ろしいくらいの快感。
「…、那須…、…〜」
その後会長耳元での更なる甘い愛の告白に、情けない話、俺はイってしまい、その強烈な刺激に頭真っ白な状態でふわふわと意識を飛ばしていたのだった。
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