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石楠花物語高校生時代
恋の終わり
茅野駅東口
   全景の全員。

すみれ「いよいよ…ね。」
キリ「えぇ、」
加奈江「みんな、じゃあ…ね、ここでお別れだ。」
みさ「別れてからも連絡取り合おうね。時々は遊ぼうね。」
知晃「私達の事、忘れないでね…」
八千代「忘れないわよ、誰が忘れるものですか!!」

   女子達、抱き合ってなく。

知晃「しおちゃーん、しばらくは会えなくなっちゃうんだね。私寂しいよぉ。」
糸織「僕もさちきちゃん…」

   千里も涙を拭う。  


   全員、暫くして其々に別れていく。

麻衣(せんちゃん…)

   駅舎に入ろうとする。

千里「麻衣ちゃんっ!!」

   千里、駆け寄る。麻衣も立ち止まって振り向く。

千里「寂しいよ、僕、君と別れちゃうなんて寂しいよ…。」
麻衣「私もよ…」

   微笑む。

麻衣「でもせんちゃん、あんたはとても強い。へー一人だって生きてかれるわ。夢も叶ったんですもの、これからのあんたの人生、きっと薔薇色に決まってるわ。」

   泣きそうになる。

麻衣「私なんかよりも、いい女の人がいるわ。幸せになってね…」

   『私の最後の願い』

   麻衣、歩いていく。千里、泣いて麻衣を見送る。

グラジオラス
   三日後。紡、糸織、マコ、千里、すみれ、小松。

マコ、千里、すみれ、小松「えっ!?」

   紡、糸織、うなずく。
  
千里「で、麻衣ちゃんはいつ…」
マコ「そいことなら、サプライズ…してやるしかないっしょ?」

   全員、マコを見る。

マコ「ま、私に任せときな。」

   得意気に指を立てる。


国際空港・ターミナル
   健司、カートを引いて時計を見ながらゲートに近付く。キョロキョロ。そこへ麻衣。

健司「麻衣っ!!」
麻衣「健司っ!!」

   健司、嬉しそうに微笑む。

健司「よく決心してくれたな…ありがとう…」
麻衣「こちらこそ。凄く嬉しい…ありがとう…。」

   放送がかかる。

健司「さ、行くか?」
麻衣「えぇ。」
健司「いいのか?千里とちゃんと別れをしないで…」
麻衣「いいの…余計に別れが辛くなっちゃうら。私のためにも彼のためにも…黙っていた方がいいんよ。」
健司「ほーか…なら、」

   健司、麻衣の手をとってゲートへと消えていく。

飛行機内
   麻衣と健司が並んで座る。ファーストクラス。

麻衣「わぁ、凄い…ファーストクラス?」
健司「あぁ…親父もお袋も俺らの旅立ちと門出を喜んで特別に。」
麻衣「まぁ!!感謝ね。」
健司「あぁ…」

   軈て

健司「ほらっ、出発だ。離陸するぞ。」

   飛行機が動き出す。空へ飛び立つとき、麻衣、手で顔を覆って泣き出す。健司、そっと麻衣の体を抱く。


ウィーン・国際空港
   麻衣と健司が並んでゲートを出る。二人とも目を輝かせている。
   『開けて心、開けて扉』

麻衣『開けて窓を開けて扉を陽の光を集めましょう、追い出しちゃってよ私の不安をこの張り裂けそうな心から。こんなに御大層にめかしこくって何故気取ってないといけないの?毛皮を纏ったって心が凍ってたら何の役にも立たないわ。開けて心を開けて瞳を真っ青な空を見つめましょう。おいで喜び、おいで幸せ、おいでよウィーンの可愛いユーモア。家中を片付けてがらくたを捨て去ってさぁみんなも集まって!!』
空港の客たち『家中を片付けて』
スチュワーデスたち『がらくたを捨て去って』
パイロットたち『部屋中の』
客の大人たち『がらくたを』
客の子供たち『捨て去って』
麻衣『クラッペラオス!!おいでよウィーンの可愛いユーモア』

   マコ、千里、すみれ、小松、紡、糸織が麻衣の周りにそっと集まってくる。

マコ『開けて心を、』
すみれ『開けて瞳を、』
小松『おいでよ、』
紡、糸織『ウィーンの』
千里『可愛いユーモア』
麻衣『Ah…!!』

   麻衣、メンバーに気付く。

麻衣「みんな…どいで?」
紡「あんたへのサプライズ。」
糸織「だで、みんなで計画したんだ。しっかりやっぱりお別れしたいもんな。」
小松「おいおい、水くさいなぁ…」
すみれ「そうよ、何でいってくれなかったのよ。」
マコ「千里も聞いてないそうよ。」
千里「言ってくれても良かったのに…君との別れは確かに辛いけど…でもやっぱり、ちゃんとお別れは…僕だってしたいもん…」
麻衣「せんちゃん…みんな…」
紡「だからさ、あんたの新人公演まで…私達一週間、いることにしたんだ。」
糸織「ん、だからさ想いで作り、しよ。」
すみれ「7人だけの卒業旅行ね…」
麻衣「みんなぁ…」

   泣きそうになる。健司も微笑んで麻衣を見つめる。

健司「良かったな、麻衣、」
麻衣「えぇっ、ありがとな、みんな!!」
小松「さ、そうと決まれば早速、」
マコ「ウィーンの町目指して、レッツ…」
全員「セルリーっ!!」

   全員、空港を出入り口へとお喋りをしながら向かって行く。

ウィーン市内
   メンバー、買い物をしたり色々しながら日々を過ごしている。

紡「さ、いよいよ明日はビッグイベント…ウィーンを離れてナポリに行くに。」
麻衣「ナポリに?」
糸織「ほ。」
麻衣「目的は?」
糸織「目的は?」

   小粋に麻衣を見つめる。

ナポリ・ヴェスヴィアス登山
   七人が登っている。
   『フニクリフニクラ』

千里『愛しいリネッタよ聞いてくれ、僕は来たんだ。そこは薄情な君が僕を虐めないところさ。そこには火が燃えているが逃げれるところで、後を追っかけたり傷つけたりは出来ないところさ。jemmo,jemmo,jammo,jammo,ja!jammo, jammo, ngconpa jammo ja.フニクリフニクラ、フニクリフニクラ?jammo jammo ja フニクリフニクラ!』
麻衣『山の頂上までは後、一歩だけなの。フランス、プロチダ、スペインが見えるわ!そして彼が見えるわ!風に乗って空まで登っていきたい…この心はいつも、あなたの側で…jammo jammo jammo jammo ja jammo jammo jammo jammo ja,フニクリフニクラ、フニクリフニクラ!jammo jammo ja, フニクリフニクラ!』
健司『登山列車に乗って俺はここまで来たんだ。山を昇って下って、そしてついにここに来たんだ。俺の心は踊る、お前の回りで。でも、騒がしいから言うよ、結婚してくれ!!jammo jammo jammo jammo ja, jammo jammo jammo jammo ja, フニクリフニクラ、フニクリフニクラ!jammo jammo ja フニクリフニクラ、』
全員『jammo jammo jammo jammo ja, jammo jammo jammo jammo ja, フニクリフニクラ、フニクリフニクラ!!』
麻衣『Ah…』
全員『jammo jammo ja, フニクリフニクラ!!Ah,si!!』

   途中で麻衣がしゃがみこむ。

千里「麻衣ちゃんっ、大丈夫?」
麻衣「あぁ、せんちゃん…ありがとう、大丈夫よ。いつものこん。軽い貧血よ。」
千里「どうしよう、困ったな…あ!!」

   バッグをがさごそ

千里「そういえば僕、さっきチョコレートとミネラルウォーター買ったんだ。良かったら、」
麻衣「悪いわ、折角あんたが…」
千里「いいんだ、僕は元気だし、又買えばいいんだもん。君の役に立てれば僕だって嬉しいんだ。どうぞ。」
麻衣「ありがとう…では、有りがたく、頂きます。」

   麻衣、チョコレートとミネラルウォーターを口に入れて微笑む。

麻衣「よっしゃあ、なんか元気出てきたわ。せんちゃん、ありがとう。いきまい。」
千里「大丈夫?」
麻衣「えぇ!!」
千里「なら、うんっ!!」

   千里、麻衣、手をとって山を登り出す。健司、二人を見てふふっとわらう。小松は少し悔しそう。

   (頂上)
   七人、うっとりと景色を眺める。健司と千里、麻衣の肩を抱く。


運河・ゴンドラの上
   健司、麻衣、千里。乗っている。
   
千里「…いよいよ…明日なんだね。」
健司「ん?」
千里「麻衣ちゃんの公演が終わったら…僕達はお別れだ。健司くん…麻衣ちゃんを頼む。幸せにね…」
健司「やめろよ、まだ早いだろ。」
麻衣「ほーよ。」

   千里、泣きそうになっている。

健司「おいおい、ほれ又、泣きそうになってる…涙はまだ堪えろよ。」
千里「ごめん…」
麻衣「バカね、男の子だら。」

   笑って千里の涙を拭う。

麻衣「なら、楽しくなるように、私が歌ってあげるわ。」

   そっと立ち上がる。
   『ゴンドリエーレの歌』
   健司、千里もうっとりと聞き入る。千里は聞きながら涙を流してしまう。

健司「千里、今日は特別…最後なんだで…お前が麻衣と休めよ。」
千里「え、でも…」
健司「いいんだよ。これでふんとぉーにへー、麻衣と寝るのは最後んなるんだぜ。今まで麻衣のこんをありがとな。お前だで素直に麻衣のこん、任せれたんだよ。」
千里「健司君…本当に、いいの?」

   健司、微笑んで頷く。

千里「ありがとう…」


ホテル・ツインルーム
   麻衣と千里、バルコニーに立ってジュースを飲みながらボワーッと風に当たっている。

千里「ねぇ、麻衣ちゃん…」

   麻衣、千里の口を遮る。

麻衣「やめて、せんちゃん…ほれは、ほの時になってからほの時になってから思いっきり…」
千里「いや、ダメだ、」

   泣きそうになりながら首を強く降る。

千里「僕、明日は君と笑って別れたいの。明日は絶対泣かない…笑顔で君をさよならを言いたい。だから、だから…今日だけは…泣かせてください…」
麻衣「せんちゃん…」

   麻衣も泣きそうになって千里を抱き寄せる。

麻衣「ほーね…分かった。明日は私も絶対に泣かない…。笑って、笑顔であんたにさよならしたい。だで…いいに、明日の分まで泣いていいに。」
千里「麻衣ちゃん、別れたくないよ…寂しいよ…」
麻衣「よしよし、私だってあんたと同じよ…」
 
   二人、泣いて抱き合う。
   『別れの歌』


   暫くして、麻衣、千里が眠るのを見届ける。

麻衣(お休み、せんちゃん…今までありがとう。あんたの優しい愛は、決して私、忘れない…)

   麻衣、いつまでも千里の体を優しく叩きながら起きている。

ウィーン国立歌劇場・控え室
   出演者が多数いる。そこに麻衣。タニア、マルセラ、フロレスタンもいる。

麻衣「gruss gott!!あ!!」
タニア「柳平さん、」
マルセラ「待ってたわ。」
麻衣「ターニャ姉さんに、マルセラさん!!」
マルセラ「大きな決意してくれてありがとう。」
麻衣「いえ、こちらこそ。」
タニア「聞いたわ。ではあなたも…これからはここで…生きていくのね。」
麻衣「はい、」

   タニア、微笑んで麻衣の肩を叩く。

タニア「自信をお持ちなさい。あなたなら一人でも出来る。やっていかれる。必ず、素晴らしいソリストになるわ。私を信じて…」
マルセラ「何かあれば、私達もいつも、ここに…あなたの近くにいるわ。」
麻衣「はいっ!!私頑張ります!!ありがとうございます!」

   フロレスタンを見る。

麻衣「あれ?あなたは…」
フロレスタン「君は…!?ひょっとして、柳平さんかい?どいして…」
タニア「へへっ、驚いたでしょ?実はMMCで優勝したって言う、超天才娘ってのは、」
マルセラ「彼女の事だったのよ。」
フロレスタン「ほー…へぇ?」

   フロレスタン、しばらくポカーンとしている。麻衣、小粋に微笑んで躍りのステップを踏む。

同・ステージ
   ブザーが鳴り、幕が開いて公演が始まる。プリーマドンナは麻衣。観客、プリーマドンナに大喝采でバラの花が無数に飛ぶ。

   カーテンコール。多くの花花に囲まれた麻衣が歓喜余って泣きながらお辞儀をしている。

   例のごとくに健司がキザに、ステージ下から膝まずいて大きな花束を渡して、麻衣の指に指輪をはめる。会場は更に大喝采。千里、泣き笑いをしながら拍手を送っている。

千里(おめでとう、麻衣ちゃん…おめでとう、健司くん…二人とも、幸せになれよ…)


ウィーン・国際空港
   七人がいる。放送がかかる。

すみれ「さぁ、じゃあね麻衣、そろそろ私達も行かないと…」
紡「だな、」
糸織「あぁ、頑張れよ麻衣。健司くんいるで大丈夫だとは思うけど…寂しくて仕方なくなったら戻ってこいよ。」
麻衣「えぇ、ありがとう。私も必ず帰るつもりよ。」
マコ「寂しくなるわ…こまくさ夜会は健在よ。いつでも会にだって顔を出してね。あなただってまだメンバーなんだから。」
麻衣「えぇ、ありがとう。是非いくわ。」
千里「元気でね…」

   5人、手を降りながらゲートを入っていく。麻衣と健司もいつまでも手を振っている。

   千里、途中で立ち止まる。

糸織「ん、せんちゃん?」
マコ「ちょっと千里っ!!あんた何やってんのよ、早く来なさいよっ!!」
小松「おいっ、小口君っ!!」
千里「…。」

   俯いて、唇を強く噛んでいる。

マコ「おいっ!!!」

   千里、走って麻衣たちの元へかけ戻る。

麻衣「せんちゃん?」
健司「千里?」
千里「麻衣ちゃんっ!!」

   勢いよく抱きつく。
 
麻衣「ちょっ、ちょっとっ!!」
千里「麻衣ちゃん、麻衣ちゃん…僕、僕やっぱり寂しいよ…離れたくない、別れたくはないよ…」

   泣き出す。

麻衣「せんちゃん、昨日の約束と違うじゃないの…泣かないって…約束破っちゃいけんに。」

   麻衣も涙を流す。

千里「君だって、君だって嘘ばっかし…泣いてんじゃんか…」
麻衣「女の子はいいんよ…」
千里「麻衣ちゃんーっ!!」

   声を出してなく。

千里「君はとは、本当にこれでお別れだね。君は、嫁いでしまうんだ…」
麻衣「えぇ、でもせんちゃん…結婚したっていつでもあんたは素敵な大親友。私達は一生一緒にいましょう。」
千里「うん、うん、ありがとう…健司くん…」

   健司を見る。

千里「これからは、君が麻衣ちゃんのことを一生支えてあげてね。麻衣ちゃんを、」

   深々と

千里「宜しくお願い致しますっ…。」
健司「千里…あぁ、勿論さ。だで、心配するなよ。お前こそ…」

   微笑む。

健司「色々と大変なるだろうけど、頑張るよ。いいピアニストになるんだろ。今まで色々ありがとな。」
千里「うん、君もいいデザイナーになってね。」

   千里と健司、握手をする。

千里「なら健司くん…僕、最後のお願いがあるんだ。僕の望み、叶えさせてください…」
 
   千里、健司が返事をする間もなく麻衣を強く抱き締めて口付けをする。他メンバー、驚いて手で口を覆う。麻衣、真っ赤になって目を見開いている。


   千里、麻衣から離れる。

千里「突然ごめんね…これは僕の気持ち。僕の事、一生忘れないでね」
麻衣「何いっとるんよ、忘れるわけないらに…勿論みんなのこんも…」
千里「じゃあ…僕はこれでもう行く…」 
 
   泣きそうになりながらも無理して笑顔を作る。

千里「達者でな…。」

   手を降ってゲートへと消えていく。千里、踵を返すと涙を隠しながら足早に去っていく。

   麻衣もいつまでも泣きながら見送る。健司が麻衣の肩に手を置く。
   『セルピーナの事を忘れないでね』

   二人のみ。

健司「麻衣、大丈夫か?」
麻衣「えぇ…ありがとう…大丈夫よ。」
健司「ほーか?…なら、俺達もボチボチ家に…戻ろうか?」
麻衣「えぇ…。」

   二人、健司に肩を抱かれながらゆっくりと歩いていく。


ハンガリー、ブダペスト・アパート
   麻衣が外から帰ってくる。

麻衣「ただいまぁ!!…って、まだ戻っとらんか…いいや。」

   電気をつけて水を汲む。

同・バルコニー
   麻衣、一人バルコニーに出て月を見ながら水を飲んでいる。

   暫くして、そこへ健司。

健司の声「ただいま…」

   麻衣の元へいって優しく肩を抱く。

健司「や、」
麻衣「あ、健司…」
健司「どうした?」
麻衣「健司…私これからあんたと二人きりでやっていかれるかしら…?」
健司「ん?」
麻衣「私不安なのよ、心配なのよ…知らない異国の地で暮らすこと…家族や友達と離れていること…いい妻としてあんたを支えて尽くしていかれるかも分からない、ほれがとても怖いの。」
健司「麻衣…大丈夫だよ、ほんなに心配するな。俺がついてるだろ?ほれにお前は、頑張らなくったって、十分素敵な女なんだでさ、これからだって大丈夫。きっと俺たち、全てが上手く行くさ。」
麻衣「健司…ありがとう。あんた、又一段と優しくなって、急に素直になったわね。」
健司「うっせーよ。前から素直だろ、俺は。愛してるよ、麻衣…」
麻衣「私も、愛しとるに、健司…」

   健司、麻衣に口付けをする。

健司「さぁ麻衣、今日はへーごしたいろ?どっかへ食べに行くか?」 
麻衣「ほーね。ほーしましょう。」
健司「何処がいい?何が食べたい?」
麻衣「ほーね…健司、あんたは?」
健司「ほーだなぁ、俺はねぇ…」

   二人、肩を組んだまま話ながら戻っていき、アパートを出て鍵をかう。


小口家(おまけ劇場)
   2008年11月上旬。
   珠子が生まれたばかりの赤ん坊を抱いている。千里は、目を見開いて半分ショックを受けたような顔をして赤ん坊を見つめている。

千里「ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、僕の弟ってママ…」

   震え出す。

千里(一体この子は誰の子なんだ?確かに可愛いし、僕の弟ならとても嬉しいけど…まさかママ、ママって…ママに限ってそんなまさか…)
珠子「この子の名前はね、信助って言うんですよ…せんちゃん、あなたの弟なんですから、仲良くしてあげてくだちゃいねぇ、お兄ちゃん宜しくねぇーって。」
頼子「ですって、千兄ちゃん、」
忠子「ねぇー!!」

  三人、何とも言えない顔の千里を見てクスクスと笑いながら、赤ん坊を見つめてあやす頼子と忠子。赤ん坊を抱く珠子、そしてショックを受けたように放心して赤ん坊に近づくことが出来ずに逃げ腰で今にも泣き出しそうな千里。

   ED『春に寄す(シューベルト)』

   





 


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