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石楠花物語中学生時代
フィナーレ

小口家
   千里、恐る恐る、しょんぼりとはいる。

千里「ただいま…」

   玄関先に夕子と珠子。

珠子「今日テスト返ってきたのよね…お見せなさい。」
夕子「ほれっ、早くっ!!千里っ!!」
千里「…。」

   上目で見上げる。

夕子「千里っ!!!!!」
千里「ひぃーっ!!!」

同・奥間
   珠子、夕子の前の座布団に千里がしゅんとおつくべしている。

夕子「ほれっ、早くお見せっ!!」
珠子「せんちゃんっ!!」

   千里、恐る恐るそーっとテストの答案を二人に見せる。二人、まじまじ。

千里「…。」

   珠子、夕子、ゆっくり顔を上げて千里を睨み付ける。千里、おどおど。

珠子、夕子「千里っ!!!!!!」
千里「ひぃーっ!!!」

   驚いて逃げ出す。

千里「ごめんなさぁーいっ!!!」

   外へ逃げ出る。

同・外
   麻衣が玄関先で待っている。そこへ千里がしくしくと泣いて出てくる。

麻衣「せんちゃん?」

   千里、麻衣に気がついて慌てて涙を拭う。

千里「ま、麻衣ちゃん…どうして?」
麻衣「あんたを迎えに来たの…ちょっと心配だったもんで。あんたこそどーしただ?泣いてるのね?」
千里「案の定…覚悟はしてたけど、怒られました…」

   涙を堪えながら笑う。

千里「う、う、う、…」

   堪えきれなくなって泣き出す。麻衣、泣く千里を抱き止める。

千里「麻衣ちゃん、僕、僕悔しいよ…」
麻衣「よしよしよし、大丈夫よ。泣かないで。この次があるわ。この次に又頑張ればいいんよ。あんたならしっかりやれば出来る子なんだで。な。勉強分からなかったらいつでも教える。二人でやった方が楽で楽しく片付くら?だで、ね。又一緒にやろうな。」
千里「麻衣ちゃん、ありがとう…僕、君みたいな優しい友達持ったの初めてだ…初めてだからとっても嬉しくて…」
麻衣「ま、おっこーね…あったって人は。そ、遊びにいきましょ…」
千里「うんっ…」

   麻衣、泣く千里を慰めながら歩いていく。千里も泣きながらも徐々に弱々しく笑って歩いていく。


岩波家・台所
   幸恵が食卓の準備をしている。悟、岩波ももう食卓についている。

幸恵「健司、あなたもご飯よ。早く降りていらっしゃいっ!!」
健司の声「ほーいっ!!」

   ルンルンと階段を降りて台所に入ってくる。

健司「はーいっ!!」
幸恵「母さんね、この間料理コンテストで優勝してね、沢山美味しいもの賞品貰ったのよ。みんなあなたの大好きなものなの。今夜は豪勢よ、健司ちゃん、お食べなさいっ。」
健司「わぁーっ、なーにっかなぁ?なーにっかなぁ?」

   わくわく

健司(今日は蓼科牛か?それともウィンナーか?)

   席につくが青ざめる。

健司「うっ…」

   テーブルの上はセルリー料理のオンパレード

健司「お袋っ…何だ?…これって…」
幸恵「あら、あなたの大好きなものよ。本当に助かっちゃったわ。沢山余ったって言ってねぇ…婦人会全員でどうぞって、山梨の武田さんが下さったから、みんなでこれくらいずつ山分けしてきたのよ。取れたてで美味しいセルリー、新鮮でとっても美味しいわよぉーっ!!」 

   健司、ご飯と味噌汁を飲もうとするがセルリーの炊き込みご飯とセルリーとトマトの味噌汁。

健司「うぐっ…」

   臭いを噛んだだけで目を回して気絶をし、そのまま椅子から落ちて倒れてしまう。


   その頃、千里の家はとても楽しくわいわいとすき焼きを囲み、麻衣と房恵もお祝いの打ち上げをして楽しく盛り上がっている。   


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