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石楠花物語小学校時代
蜜蜂家政婦の花嫁

同・上映場
   前景の人たちが飲んだり食べたりしながら真剣に見ている。麻衣、健司に甘栗を持たせて食べている。

健司「おいっ、自分ばっかり食べてねぇーで、俺にも食わせろよ。」
麻衣「ん、食べな。」
健司「バカ、この体制じゃあ食えねぇだろうに。」

   口を開ける。

麻衣「何よ?」
健司「口に入れて。」
麻衣「しょうがないわねぇ。ほいっ、」

   剥いては健司の口に甘栗を入れながら自分も見ている。


同・外
   前景の人たちが出てくる。

麻衣「はぁ、楽しかった!やっぱりいいわなぁ、オードリー映画…。燃えどらんも凄く面白かったぁ!!」
健司「ふんとぉーに…千里は?」

   千里、うっとり 
 
健司「ん、千里?」
千里「僕…うっとりしちゃった…いいなぁ、いい映画…またみたいなぁ…」
野々子「ん?千里くん、オードリーに初恋か?」
茶目子「もういないぞ。」
千里「ち、ちちちち違うよ!!そんなことわかってるったらぁもぉ!!」

   真っ赤になる。

千里「映画があまりにもロマンチック過ぎちゃってさ…」

   うっとりと目を閉じる。

千里「またあの人のシリーズの映画、色々と見てみたいな。僕なんか、ファンになりそうだ…」
麻衣「私もだに」

   うっとり

麻衣「昔の古い、外国のミュージカル映画って大好き…。なぁ、健司!!」

   腕に巻き付く。

麻衣「今度はジュディー・ガーランド見たい!!な、いいら?」
健司「は?どいで俺に言うんだよ。」
麻衣「男だもんで。」
健司「はぁ?」

   野々子、茶目子、笑う。

野々子「岩波くん、モテモテ。」
茶目子「頼んだよ、御曹司。」
健司「だもんでおれは御曹司じゃないっつんの。」

   手を降りたくる。

健司「これっ、離れろ!!離れろっつーの、柳平麻衣っ!!こらっ!!」

   麻衣、面白がって巻き付きながらピョンピョン。

 
   (その後、)
   それぞれの学校では麻衣、千里、うっとりにやにや。


上川城南小学校・教室
   千里、小平、後藤

小平「千里、いよいよスタンツの練習が始まるな。」
千里「え?」

   少し考えてから顔が曇る。

千里「はぁ…」
後藤「でもさ、まぁ今年で最後だで。頑張れよ…」
千里「最後とか言うなよ…寂しくなっちゃうじゃん…」

   肩を落とす。

千里「でも組体操はやだ。もう一生やりたかない!!」
小平「でもお前なら落ちても怪我はしないかもな。」
千里「どうしてだよ?」
小平「羨ましいよ。だってバレエやってんだろ?バレエやってりゃ体は柔らかいもの。」
千里「そういう問題?」

   手足を見つめる。

千里「あ、いけない…僕、爪切るの忘れちゃった…」
後藤「んなら俺、爪切り持ってるよ。」
小平「うぉっ、どいでほんなもんお前もってんだよ?、」
後藤「スタンツの練習が始まるからさ。誰かの役に立つんじゃないかっておもって。」
小平「ほぉ、柄でもないねぇヒデ。」
後藤「うっせぇーよ。ほいっ、」

   千里に渡す。

後藤「使えよ。」
千里「ありがとう、」

   切り出す。

千里(ちぇっ。折角練習サボれるかと思ったのに…)
後藤「お前今、」

   ニヤリ

後藤「練習サボろうとか考えたな?」
千里「ギクッ、」

  
   爪切りを返す。

千里「ありがとう…」
小平「とにかくっ、行くぞ。」
千里「はーいっ!!」

   三人、教室を出ていく。


同・校庭
   六年生全員、練習をしている。千里はいつも一番上。ビクビクしながら立ち上がる。

金子先生「小口くんっ!!ビクビクしないっ、顔をしっかりあげなさいっ!!」
千里「はいっ…」

   怖そう。下へ降りるとほっと一息。


   ピラミッドの練習入る。 

   千里、上へと登っていく。

千里(あと授業どれくらいかな…何か、またトイレ近いかも…どうしよう…)

   時計をちらり。

金子先生「小口くんっ、だからよそ見をしないっ!!」
千里「はいっ、ごめんなさい…」

   笛と共に上に立ち上がる。千里、足ががくがく

千里(先生っ、早くしてぇっ!!)

   笛と共に下へ降りる。千里、金子先生に駆け寄る。

金子先生「どうしたの、小口くん…」
千里「先生っ、トイレ行っていい?」
金子先生「我慢できないの?」
千里「はい…」

   金子先生、どうぞと合図。千里、頭を下げてトイレへと飛んでいく。



同・男子トイレ
   千里、用を足しながらため息。

千里(はぁ…どうしよう…こんなにトイレ近いんじゃあ、もう練習に戻れないよ…)

   とぼとぼとトイレを出る。

千里「しょうがない…教室で待ってよ…」


同・教室
   千里、スピネットを弾いている。

   まもなくして後藤、小平が先に入ってくる。

後藤「お、」
千里「あ、」

   スピネットをやめる。

千里「お帰り。」
後藤「お前、大丈夫か?あれから戻らんかったけど…トイレ?」
千里「う、…うん…」
小平「腹痛いか?」
千里「いや、そうじゃないけどさ…」

   恥ずかしそうに

千里「猛烈にトイレ近くなっちゃって…」
小平「又か…お前、最近時々小便近いもんな…本当に大丈夫なのか?」
千里「うん…まね。」


   軈て、全員が集まって帰りの会が始まる。


下校。
   千里、後藤、小平

後藤「え、誕生日会?お前の家で?」
千里「そう…嫌?」
後藤「まさか!大歓迎さ!!」
小平「俺もいいの?」
千里「勿論っ!!」
小平「やりぃ、で?何処で?」
千里「僕んちはアパートで狭いから、僕の叔母さんち。ただ、夕子叔母さんは色々とうるさいし細かいからさ、洲子叔母さん家を借りてやることにしたんだ。」
小平「ふーん、OK。予定しとく。」
後藤「ありがとう!!」


小口まゆ美バレエ教室
   麻衣と千里

千里「って、訳なんだけど…どうかな?」
麻衣「え、私もいいだ?」
千里「来てくれるの?」
麻衣「誘ってくれるんなら喜んで!!いつ?」
千里「8月10日さ。僕の誕生日、当日。」
麻衣「分かった。」

   にっこり

麻衣「誘ってくれてありがとな。楽しみにしとる。プレゼント何がいい?何か用意するな。」
千里「わぁ、ありがとう!!」

   有頂天でトワールを始める。
 
千里(やったぁ、やったぁ、一番来てほしかった子にOK貰ったぞ!!僕は君が来てくれるだけで最高のプレゼントなのだ!!)

   麻衣、千里を見てクスクスと笑う。

麻衣「変な千里くん…っ。ふふっ、楽しみ。」

千里「あ、もし都合よかったら健司くんも誘ってみてね。」

   るんるん。


源洲子宅・庭
   誕生日会当日。珠子、小口、千里、後藤、小平、麻衣、健司。焼き肉の準備が行われている。

健司「よ、千里。」
千里「ん?健司くん!!来てくれたんだ!」
健司「あぁ。なんか俺まで誘ってくれてありがとな。」
千里「こちらこそだよ!!」
健司「千里、」

   バイオリンを取り出す

健司「俺、バイオリン弾けるんだ。だで、お前の誕生日、一曲プレゼントします。」
千里「わぁーっ!!」

   健司、バイオリンを弾き始める。千里、麻衣、微笑んで聞いている。

   終わる。拍手。

千里「健司くん、ありがとう!ビックリしたよ、バイオリン上手いんだね。」
健司「や、どーも。千里、お誕生日おめでとう。はい、これプレゼント。」

   千里、受けとる。

千里「うわぁ、ありがとう!!開けていい?」

   健司、頷く。千里、ルンルンと開け出す。

千里「うわぁ!!」

   うっとり

千里「チョコミントのCDと、ポスター!!でも、何で?」
健司「麻衣から聞いたんだ。」
麻衣「ほ。何か、いつもせんちゃんってチョコミントの歌を口ずさんでるし、好きなのかなぁーって。」
千里「大好き!ありがとう!」
麻衣「私からも、」
千里「わぁ!!」

   開ける。ピアノの楽譜とくまのぬいぐるみ

千里「ピアノだ!!」

   楽譜を見る

千里「ショパンか…でも僕にはまだ少し難しいかな…」

   苦笑い。

千里「もうちょっと上手くなったら弾いてみる。」
麻衣「せんちゃんならすぐ弾けるに。弾けるようになったら聴かせてな。」
千里「うんっ!!それと…」

   くまをすりすり

千里「可愛い、くまちゃんだ!!僕ってぬいぐるみ、大好きなんだ。本当にありがとね、大切にする。」

   後藤、小平もやって来る。

小平「お、千里の友達?」
麻衣「あぁ。えぇ。豊平小学校の時のクラスメートです。君達も?」
小平「あぁ、俺は上川城南小学校のクラスメートで小平海里。」
後藤「同じく、後藤秀明。」
麻衣「私は柳平麻衣、」
健司「俺は岩波健司。」

   全員、すぐに打ち解けて微笑む。

珠子「みんないらっしゃい。今日はありがとね…ゆっくりしていってね。」
全員「はいっ。」
小口「さぁ、準備ができたぞ。みんな焼き肉を食べよう!!」
全員「やったぁ、はぁーいっ!!」

   わいわいと食べ始める。

   食べ終わると、千里がピアノを弾いたり、踊ったりしている。


   (16時)

千里「帰るんだね、今日はありがとう。」
麻衣「こちらこそ、また遊ぼうな。私の誕生日にも呼ぶな。」
千里「うんっ!!」
健司「俺も、また遊びたいな。」
千里「勿論さ、」

   三人、手を重ね合わせて微笑む。

   其々に帰っていく。

洲子「みんな帰ったね。」
珠子「えぇ。」
千里「みんなからね、こんなにたくさんプレゼント貰ったんだよ!!そしてね、健司くんはね、」

   夢中で話す千里、笑って聞く珠子、小口、洲子。

珠子「じゃあせんちゃん、午後は改めて家族だけで誕生日会やりましょうね。」
千里「うんっ!!」
小口「ママからもパパからもプレゼントあるからね。」
千里「やったぁ!!パパ、ママ、ありがとう。」

   二人に抱きつく。

洲子「姉さん、兄さん、今日、明日は何があっても千里の事を叱っちゃいけないよ。この子の誕生日なんだから、笑って見守ってあげな。」
珠子「えぇ、」
小口「分かりました、そうします。」

   千里、にこにこして庭で遊び回っている。

小口「千里、今度はいよいよ」


原小学校・音楽室
   吹奏楽の練習

茶目子「諏訪六の大イベントね。」
野々子「吹奏楽のパレード」
麻衣「えぇ!!」

   ホルンを吹きならす。

茶目子「まいぴう、いつの間にそんなに上達を!!」
野々子「すげぇ。」

   麻衣、ニコニコしながらモーツァルトのホルン協奏曲を吹きながらステップを踏んでいる。

野々子「でも、この間の男の子は?何処の学校の子?」
麻衣「あぁ、城南。」
野々子「わぁを。」 
茶目子「上川城南よね。勿論そこも出るよ。先頭切るんだって。」
野々子「あの子、何か吹奏楽やりそうな感じよね。」
麻衣「吹奏楽よ。」

   野々子、茶目子、盛り上がる。

野々子「あの子可愛いけどさ…まいぴう、どうよ?」
麻衣「どーって?」
茶目子「彼氏、」

   麻衣、赤くなってこずく。

麻衣「やめて、ほーいうんはない!!私たちはただのお友達だに。ほれに、」

   笑う。

麻衣「まだ私達は子供なんよ。」


上川城南小学校・音楽室
   千里、ベルリラを構えている。

千里「くしゅんっ、くしゅんっ、くしゅんっ!!」

   永田眞澄、北山マコ、鈴木真亜子もいる。

眞澄「チーちゃん、どーしたの?風邪?」
千里「ん、かなぁ?嫌だな…もうすぐ本番なのに…」
マコ「誰かが噂しているんじゃない?」
真亜子「あぁっ!!」
千里「え?僕の?なんの?」
真亜子「色々よ。」

   にやにや。

真亜子「女の子とか。」

   千里もにやにや。

真亜子「あぁ、にやにやしてる。鼻の下伸びてるぞ。」

   千里、麻衣を想像。

マコ「ひょっとして、誰か思う子がいるな?」
眞澄「そりゃ、チーちゃんが思う子なんて、私に決まってるわよ。ね、チーちゃんっ!!」

   千里、びくりとして我に返る。

千里「え、えぇ?」
真亜子「でも、三回のくしゃみは…」

   悪戯っぽく 

真亜子「相手に貶されているかバカにされているかだってよ」

  千里、がくり。

千里「う、う…」

   泣きそうになる。

千里(麻衣ちゃんに僕嫌われてるんだぁ!!僕何にもしてないのに!!)
真亜子「おいっ、千里くん?どーした?」

   千里の顔を除き混む。

真亜子「泣いてるの?」

   千里、慌てて涙をぬぐう。

千里「な、泣いてなんか…ないよっ!!」

   楽譜を見ながら徐に叩き出す。

真亜子、眞澄、マコ「?」

   三人も不思議がりながら練習を始める。


諏訪市内
   東西南北から、それぞれの学校の生徒が演奏をしながら市役所に向かって歩いてくる。原小学校、上川城南小学校は南から市役所に向かう。


諏訪市役所
   全地方からやって来た学生が集まる。開会式が行われる。麻衣、千里はたまたま隣通し。健司も見に来ている。

麻衣「!!」
千里「!!っ」

   二人、互いに目が合う。麻衣はにこりと微笑み、千里は真っ赤になって目をそらして伏せる。


   開会式が終わる。 

麻衣「せんちゃんっ!!」
千里「麻衣ちゃん!君たちも来てたんだ。」
麻衣「ほ、諏訪六の全部が集まるでね。せんちゃんはベルリラなんだ。格好いい。」
千里「麻衣ちゃんはホルンか。」

   麻衣、小粋にホルンを吹いて見せる。

千里「わをっ。」
麻衣「せんちゃん、あんたは?このあとどーする?」
千里「どーするって?」
麻衣「これでへー帰るだ?」
千里「いや、まさか。」

   微笑む

千里「折角来たんだ。遊んでくよ。」
麻衣「家族と?」
千里「いや、友達…許してくれた…てか、忠子が生まれて以来僕なんてほったらかしだからさ…」
麻衣「でも、この間の誕生日会…お母様、とてもせんちゃんを大切にしていらしたわよ。」
千里「まね、でも普段はもう僕なんて…」

   少しイライラと下を向く。

麻衣「ならせんちゃん、私達も一緒に君に加わっていい?」

   千里、嬉しそうに目を見開く。

千里「うんっ、その前に…」

   赤くなってもじもじ

千里「着替えてきていいかな…」

   浴衣をバッグからちらりと見せる。

千里「これ…」
麻衣「勿論、いいに。せんちゃん、浴衣着るんね、私も楽しみ。」
千里「じゃあっ…」

   赤くなって市役所の中へ入っていく。麻衣、入り口で待っている。

   しばらく、千里が出てくる。

千里「麻衣ちゃん、お待たせ。」
麻衣「せんちゃん…わぁっ!!」

   うっとり

麻衣「かっわいい、凄くよく似合っとるに。ほれは?誰に着付けてもらっただ?」
千里「誰って…誰もいないから一人で。」
麻衣「まぁ凄い!!今時男の子でほんな気付けができるだなんて。あんたってどーゆー育ち?」

   千里、真っ赤になってもじもじ

千里「どどど、どーゆーって。別に普通だよ。」

   麻衣、千里の肩を抱いて歩いて市役所の駐車場を出る。

   麻衣、千里、小平、後藤、眞澄、真亜子、マコが集まってわいわいと遊んでいる。

   千里、金魚すくいをやる。

千里「わぁっ、やったぁ!!」
麻衣「千里くん凄いっ!!」
千里「てへへっ。」

   千里、実力だけで沢山吊る。

千里「かっわいい。麻衣ちゃん、」

   一つの袋を渡す。

千里「君、魚って好き?よかったらこれ…あげる。」
麻衣「わぁ、ありがとう!!」

   眞澄、頬を膨らめて千里をこずく。

眞澄「チーちゃんっ!!どーして私にはくれないのよ。ちょうだい!!」
千里「ごめんごめん。」
眞澄「もう一回やってよ、」
千里「えぇーっ。」

   眞澄に急かされて渋々とる。他のメンバー、呆れてクスクス。小平、後藤、小声。

小声「なぁ、ヒデ、千里ってさ…」

   麻衣を見る。

小平「実はあの女の子の事が好きなんじゃね?」
後藤「俺も、そー思った。何だ、お前も同じこん思ってたのか。」
小平「あいつもついに初恋か?」
後藤「やるじゃん。」

   二人にやりとして、麻衣と千里を交互に見る。

後藤「ま、千里はかなり頼りねぇーけどさ、」
小平「あいつは男のくせに女子のような美人だし…お似合いっつやぁ、お似合いだよな。」

   千里はいやいや眞澄に急かされて金魚すくいをしており、麻衣はその千里を黙って微笑んで見つめている。


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