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石楠花物語小学校時代
意地悪眞澄の嫉妬

同・トイレ
   千里が用を足している。

千里「…?」

   背中の方が明るい

千里「何?」
 
   笑う。

千里「修君だろ?悪戯に来たの?それとも君もトイレ休憩?」

   シーン

千里「返事くらいしろよ…」

   水を流して振り返る。そこに、千里そっくりの人がぼわーっと立っている。

千里「ひっ…」

   青ざめて固まる。それはにたっと笑う。

千里「うわぁーっん、ママぁーっ!!!」

   一目散に泣いて逃げ帰る。


同・ポジション
   丸山がお菓子を食べている。

丸山「あ、千里君帰ってきた。君も食べるか?」
千里「僕もうやだ、もうやだよぉ…」

   丸山に泣き付く。

丸山「は?え?お、おい?急にどうしたんだ?」
千里「僕もう帰りたいよぉ、ママぁっ!!」


同・出入り口
   終了後。丸山、大笑い。

千里「何がおかしいんだよぉ?」
丸山「ごめんごめん、でもまさか本当にお化けなんているわけないよ。ここだって、昔からの建物じゃないわけだし。」
千里「でも…」
丸山「きっと誰かの悪戯かもよ?」
千里「んー…」


小口家・千里の部屋
   千里、ベッドに入ってはいるが寝れずに仰向けで目を見開いている。

千里「ひぃーっ…」

   天井の模様やちょっとしたものがさっきの幽霊に見える。

千里「うふっーっ…」

   布団に潜る。

千里(ママぁ…パパぁ…)


   隣の部屋では珠子、小口。その隣では夕子、洲子が熟睡している。

   千里、しばらく恐怖に啜り泣いているが軈て寝入ってしまう。


   (深夜3時。)
 千里、寝返りを打ってうっすらと目を開ける。

千里「おしっこ…」

   ベッドを起き上がるが、途端に身震い。

千里「やっぱり怖いよぉ…」

   先程のものを想像する。

千里(ママぁ…困ったな…でも、叔母さんいるからパパやママ起こしたら怒られるし)

   もじもじ

千里(でも一人でトイレ入るのは怖いよぉ…)

   半泣き

千里(んーぅっ。)

   もじもじ

千里「おしっこ…ん?」

   動きが止まる。

千里「おしっこ?」

   嬉しそうな顔

千里「そうなんだ!!僕、やったぁ、そうなんだ!!」

   ベッドから出る。

千里「おねしょしちゃう前に一人で起きれたんだ、凄いや、やったぁ!!僕はついに一人でおしっこに起きられるようになったぞぉ!!」

   有頂天になっているが、慌てて押さえる。

千里「あぁっ、」

   急いで走って部屋の戸を開けるが、ドアの外でおもらしをしています。

千里(う、う、う、う…折角、折角ちゃんとおもらししちゃう前におしっこ起きれたのに…)

   涙が込み上げる。

千里「ママぁっ!!!うぁーんっ!!」

   珠子、驚いて飛び出てくる。

珠子「せんちゃん、静かになさいっ!!どうしたの?」

   ズボンを見る。

珠子「またおねしょしちゃったのね?」
千里「違うの…違うの…」

   者繰り上げる。

千里「僕今日はおねしょしちゃう前におしっこ起きれたんだよ!!本当なんだよ!!でも、でも…」

   珠子に泣き付く。

千里「トイレ入る前にもれちゃったの…」
珠子「せんちゃん、分かったから、分かったからもう泣かないでね。とにかく。」

   千里のズボンとパンツを下ろす。

珠子「早く着替えちゃいなさい。ここはママが片付けますから。もう来年は中学生なんだからいつまでもママに泣きついてちゃダメよ。」

   千里、者繰り上げているが、又泣き出す。

珠子「あぁ、まだおしっこ出るの?続きはトイレでしようね。もう、嫌だわ恥ずかしい子…いつまで経ってもちっちゃな子なんですから。来年は一人で出来るようにしようね。」
千里「うん、ごめんなさい…」

   珠子に促されてズボンとパンツを脱いだままトイレへと入って行く。珠子、黙っておもらしの後片付けをしだす。

同・玄関
   翌週。珠子、千里の身なりを直している。

珠子「よしっ、出来たわ。ママも後からいきますから」

   笑って千里の背中を押す。

珠子「頑張るのよ、ほれっ!行ってこい!!」
千里「はい、ママもパパも、叔母さんたちも、行ってきます。」

   勇んで出掛けていく。


上川城南小学校・教室
   朝の時間。

後藤「いよいよだな千里、」
小平「良かったな、最後の年に」

   ピアノを弾くジェスチャー

小平「晴れ舞台飾れて。」
後藤「ピアノの上手いお前だからやらせてもらえたんだろうな、」 
千里「いやぁ、それほどでもぉ…」

   照れる。

後藤「んじや、俺たちの歌のすべてはお前のピアノにかかってんだ。しっかりやってくれよ。」
小平「期待してるよ。」
千里「おいおい、そんなにみんなで僕にプレッシャーかけないでくれよ…」

   三人、笑ったりしてふざけている。

   千里、うっとりと


(回想)ピアノ教室
   千里と芳江

芳江「千里君、いよいよ明日ね。」
千里「はいっ。」
芳江「頑張るのよ。でもよく、」

   楽譜を見る

芳江「この難しい伴奏が弾けるようになったわね、あなたならきっと出来るわ、」

   微笑む。

芳江「とってもいい勉強になりました。」


(戻って)同・体育館
   音楽会が行われている。千里、プログラムを見る。

千里(クラスの発表の前に吹奏楽と音楽クラブがあるか。)

   演目はどんどん進んでいく。

   千里、吹奏楽と音楽クラブでもピアノをやる。


金子先生「さて、次がいよいよ6年生の発表ですよ。休憩を五分挟んだ後なので、その間にポジションを整えなさい。トイレに行きたい人はすぐに行ってくること!!」

   千里を見る。

金子先生「小口くん、君は行っておいた方がいいわよ。」
千里「はい…」

   真っ赤になって下を向く。

金子先生「以上、一同解散。」


   休憩に入り、それぞれに動き出す。


同・男子トイレ
   千里が駆け込む。

千里「おしっこ、おしっこ!!」

   丸山がいる。

千里「あ!」
丸山「千里君。」
千里「修くん、」

   用を足しながら

千里「どうしよ、僕すごく緊張してきちゃったよ。」
丸山「僕も。千里君は特にピアノ伴奏と合奏でもピアノソロだもんね。」
千里「それが一番プレッシャーなんだ。」
丸山「いいなぁ…僕もピアノやってるけどさ…候補にさえならなかった。合奏ではアコーディオンだよ。きっと君、上手いんだね。」
千里「へぇ、君もピアノやってるんだ。なんの曲?」
丸山「バイエルの90番。それとブルグミューラー。君は?」
千里「僕はぁ…」

   照れてもじもじとしながら

千里「ツェルニー50番の36と、ベートーベンソナタだよ。」  

   丸山、目を丸くする。

丸山「わぁを…」 


同・体育館
   後半が始まる。

アナウンス「それでは続いて、六年生全員による合唱と合奏劇…六年生は、小学校最後の音楽会になります。」

   拍手の中、演奏が行われる。


   大拍手の中、音楽会が終わる。


同・教室
   千里、後藤、小平、眞澄、マコ、真亜子がお昼を食べている。お弁当。

後藤「それにしても千里、お前すごかったよ。ピアノ上手いな。」
千里「え?」
小平「あぁ、本当に。どいであんねに上手いんだ?」
千里「どいでって言われても…」

   困る

千里「僕そんなにうまくないよ。」
小平「この、嘘ばっかり、自分でも本当は上手いと思っているんだろ?」
千里「そんなぁ…思ってないよぉ!!」

   一同、笑いながら困り果てる千里をからかっている。

眞澄「でもチーちゃんって…」

   お弁当を見る。

眞澄「お弁当とっても可愛いね。女の子…ひょっとして眞澄?」
千里「あ、これ?んんう、」

   首を横に降る。

千里「違うよ、美代ちゃん。」

   眞澄、表情が曇る。

眞澄「美代ちゃん?誰よそれ」
千里「あぁ、話したことなかったっけ?京都の幼馴染みだよ。その子のお母さんがさ、お弁当作りがとっても上手くてね、みんな美代ちゃんのお母さんにお弁当作りを習ってて、家のママもその一人。それで、美代ちゃんが何処行くにも必ず持ってきたのがこの美代ちゃん弁当。すごく美味しくてさ、僕も大好きになっちゃったから、美代ちゃんに作り方聞いてね、」

   うっとりと

千里「その美代ちゃんもお料理がとっても上手かったんだ…でもね、彼女…。」

   しんみりと何かを言いかけるが

眞澄「ばかっ!!」

   千里をこずいて、千里のお弁当を取り上げる。

千里「あぁっ!!やめろよ、ちょっと何するんだよぉ!!」
眞澄「他の女の子の話なんかしたらだめっ!!このお弁当は私が食べてやるんだから。」

   千里、泣きそう。

千里「僕のお昼…」
眞澄「チーちゃんは私のと交換ね」

   まだ手を付けていない自分のお弁当を千里にあげて、美代ちゃん弁当を掻き込む。

千里「ママのお弁当…」

   しゃくりあげてしくしくと泣き出す。

マコ「男の子なのにそれくらいで泣かないでよ!!だらしがないよ。」
真亜子「そうよ、眞澄ちゃんは女の子なんだもん、許してあげな。」
千里「ママのお弁当がぁ…」

   小平、後藤、千里を慰めて眞澄を睨む。

小平「おい眞澄、それってちょっとあんまりじゃねぇーか?」
眞澄「何が?」
後藤「そうだそうだ!!人の弁当とるなんて苛めや窃盗だろう!!」
眞澄「何よ?何で私を攻めるのよ?悪いのはチーちゃんじゃないの?私の前で、」
後藤「千里がなんだってんだ!!ただ昔の友達の話をしただけじゃねぇーか!!」
小平「大体、彼女でもねぇーのに、やきもちやいてんじゃねぇーよ!!」
後藤「例えそうだとしても、相手のこと考えるのが愛ってもんだろうに?」
眞澄「何よ、みんなして…」

   お茶を飲み干す。

眞澄「そうね、はいはい分かりましたよ、どーせ私が悪いんでしょ?」

   机を叩いてつんっと出ていく。

後藤「先生に言ったって先生も味方してくれねぇーと思うけどな。」
小平「僕も。」

   マコ、真亜子も悪態をついて教室を出ていく。千里は泣いている。

後藤「元気出せよ千里、な。」
小平「そうだよ、弁当の事はどーしたってあいつが悪いんだから。」


同・職員室
   金子先生、眞澄

金子先生「そう…」
眞澄「だから私、千里君のお弁当取り上げて食べたんです。なにか私悪いことしてます?千里君が私を不快にさせたから、私も仕返しを…」
金子先生「でもね眞澄ちゃん…それはあなたが悪いと先生も思うわよ。」
眞澄「どうしてですか?」
金子先生「お友達のお昼とっちゃったのよね。」
眞澄「でも、私のお弁当はまだ手を付けてなかったので、千里君には私のお弁当を」
金子先生「だとしても眞澄ちゃん、あれは、千里君のお母さんが千里君のために作ってくれたお弁当よね。千里君の承諾も得ていないんだから、お友達の物を勝手に盗んだりとることと同じなのよ。分かった?ほら、戻って千里君に謝りなさい。」

   眞澄、つんっとして職員室を飛び出ていく。


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