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石楠花物語小学校時代
千里、再びの転校
同・台所
   千里、缶ジュースを飲んでいる。

小口「千里、あまり飲みすぎるなよ。又おねしょするぞ。」
千里「大丈夫だよ。だって僕、お風呂上がりで喉乾いているんだもん。」

   二缶目を飲み干す。

千里「くぅーっ、うめぇ!!」
小口「これっ、千里っ!!」

   そこへ珠子

珠子「あなた、せんちゃんったらしょーがないのよ…」

   小口、笑う。

小口「アハハ、分かった。このいたずら坊主目が、又やったな?」
千里「ギクッ」
小口「図星だな。こいつ、パパと入るときも時々やるんだ。」
千里「だってお風呂入ってるとおしっこしたくなっちゃうんだもん。」
小口「それで千里、」

   真剣な顔になる。

小口「ちょっと話があるのだが、いいか?」
千里「うん…」

   表情が雲って怯える。

千里「何…?」
小口「お説教じゃないから安心しなさい。」

   部屋を出る小口と珠子についていく千里。


同・奥間
   千里、珠子、小口

千里「え、転校?何でさ?」
珠子「ママが豊平で泊まり込みのお仕事をしなくちゃいけなくなってね、会社の寮へ入らなくちゃならないのよ…来年の夏までですけどね。だから、」
千里「嫌だ!!僕又転校なんて絶対に嫌だ!!僕は行かないよ!!」
小口「そうか?ママ、ずっといなくなるんだよ?そうなると、夕子叔母さんが来てくれることになるが…夕子おばさんと二人でここで暮らせるかい?」
千里「え?」

  
不安そう

小口「それが出来るんならいいんだ、パパも安心さ。」
千里「嫌だ…ママと離れるなんて僕嫌だ…」

   躊躇いながら

千里「分かった…僕、豊平に行くよ…。でも又戻ってくるんだろ?少しの間なんだろ?」
珠子「一年間よ。ママに子供が生まれてからね。」
千里「うん…」
小口「千里、折角ここに慣れてきたのにごめんな。でも又戻ってくるからな。」
千里「うん、仕方ないよ、お仕事だもん…僕は大丈夫!!」

   笑う。

千里「向こうの学校にだって又すぐに慣れるさ。」


原村・上里
   麻衣、健司、磨子

健司、磨子「え、転校?」
磨子「寂しい…麻衣ちゃん行っちゃうのね…」
健司「で、何処だ?まさか…県外とか?」
麻衣「まさかぁ、豊平よ!!茅野市の!!」
健司「豊平か、豊平の何処?」
麻衣「泉。」
健司「へぇ、なら原村と近くなるな。」
麻衣「ほーね。」
健司「んならんなら俺、ちょくちょく遊びに行くよ。」
磨子「私も私も!!今まで通りに又遊びまいにっ!!」
麻衣「ありがとう、楽しみにしとる。」


上川城南小学校・教室
   卒業式の日。千里と金子先生が黒板の前にいる

金子先生「はい、と言うわけで悲しいお知らせがあります。小口千里君が、茅野市の豊平小へ転校してしまいます。」
全員「えーっ、」

   がやがや

金子先生「しーずーかーにっ。では小口君、みんなに挨拶を…」
千里「はい…」

   泣きそう

千里「皆さん、今年の春転校してきたばかりで、やっとみんなと仲良くなれたのに…お別れはとても辛いです。短い間でしたけど一年間ありがとうございました。転校といっても、六年生の年の二学期頃には又戻ってきます。又その時は仲良くしてください。」

   頭を下げる。同時に泣き出す。

金子先生「はい、小口君、ありがとう。向こうにいっても又頑張ってね。勉強はしっかり頑張るのよ。それでは、皆さん起立っ。」

   全員、立ち上がる。金子先生がオルガンを弾き、みんなは歌い出す。千里も泣き笑いをしながら歌う。


同・校門
   千里と珠子、金子先生

珠子「本当に先生、一年間どうもありがとうございました。」
金子先生「いいえ、いいえとんでもない、」

   泣いている千里に微笑む。

金子先生「小口君、寂しいかもしれないけど、いつまで泣かないの。さぁ笑って。豊平小へ行っても頑張るのよ。又戻ってきたら、一緒に勉強しましょうね。大きくなった君に会えることを楽しみにしています。」
千里「はいっ、先生…僕も。その時をとても楽しみにしております。ありがとうございました…それでは…」

   珠子も頭を下げて校門を二人で後にする。千里、珠子に手を引かれながらまだ泣いて者繰り上げながら歩いている。


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