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石楠花物語小学校時代
お風呂でのハプニング

同・奥間
   珠子と千里

珠子「そこへお座りなさいっ。」

   千里、座布団の上に座る。

珠子「今日のテストもそうですが…」

   答案用紙の束を見せつける。

珠子「これが何だか分かりますね?」
千里「は…そ…れは…」

   固くなってびくびくと震え出す。

千里「あ…」
珠子「あなたの勉強机の引き出しの奥から出てきました…」

   ガミガミと

珠子「どうしてママに隠しているのっ?今日のテストの点数もそうですが?あなたはどうしてこうも毎回毎回懲りずにこんな同じ点数がとれるの?それは何故?あなたがきちんとお勉強や宿題をやらないからでしょうに!!」

    きんきんとしたお説教が続く。千里、しょんぼりとして聞いているが、やがてしくしくと泣き出す。

珠子「泣いたっていけません!!あなたが悪いのです。あなたがいけないからママにこうして怒られるのよ。」

   30分が経過している。

珠子「ママからは以上です。パパが帰ってきたらパパからもみっちりお叱りを受けて戴きますからね。」

   珠子、出ていく。頼子の泣き声が聞こえる。

珠子「あらあらあら、ごめんなちゃいねぇ。頼ちゃん起きちゃったわねぇ…」  

   走っていく。千里、涙を拭って者繰り上げてながら立ち上がる。


岩波家・玄関先
   午後。右手にトイレ。ベルがなる。

幸恵「はいっ、」

   出てくる。

幸恵「あ、清水くん!!」
清水「健司くんの連絡帳持ってきました。」
幸恵「まぁまぁありがとう…」
清水「タケは?大丈夫ですか?」
幸恵「えぇ…」

   大声

幸恵「健司っ!!清水くんが連絡帳持ってきてくれたわよっ!!」
健司の声「はーいっ!!」

   お腹を押さえながらトイレから出てくる。

健司「あ、チーちゃん…ありがとう…」
清水「タケ…お前、大丈夫か?」

   健司はげっそりと青白い顔をしている。

健司「大丈夫じゃないよ…さっきからお腹痛くてトイレばっかり…」

   お腹を押さえ込む。

健司「ごめんっ、チーちゃん…ってわけだで…」

   トイレに駆け込む。清水、幸恵、やれやれと微笑む。

清水「じゃあ…おばさん、」
幸恵「えぇ、ありがとう…何もあげるものなくてあれだけど…気を付けてかえってね。」
清水「はいっ。ありがとうございます…」

   大声

清水「タケ、又食い過ぎるなよ!!早く直して来週は登校しろよな…」
健司の声「分かった。ありがとう、チーちゃん…」

   清水、頭を下げて家を後にする。


原村・上里
  バレンタインデー。麻衣、健司、磨子、悟が遊んでいる。

麻衣「なぁ、悟ちゃんに健司…」

   毬付きをやめる。

麻衣「これ…」

   悟と健司に小箱を渡す。

麻衣「私が焼いたんよ…今日はバレンタインデーだら?だで…食ってみてな…」
悟「わぁ、ありがとう。本当に作ってきてくれたんだ!!」
健司「俺にもだ!やったぁ!!」

   開ける。

健司「うわぁ、旨そう…ブラウニーだ!!いただきまぁーす!!」

   食べる。

健司「んーっ、うまっ。」

   磨子を見る。

健司「磨子、なぁ、お前からは?」
磨子「えー、私は料理できないしこう言うの面倒臭いから…やらなんだ。なしっ。」
健司「ちえっ、女っ気のねぇ女…」
悟「これっ、タケっ!!」

   箱を開けて食べる。

悟「麻衣ちゃん、んんっ!!本当にこれは美味しいよ。ありがとう。」
麻衣「いえ、どういたしまして…」

   赤くなってもじもじと

麻衣「悟ちゃんにほー言って喜んでもらえるんだら、私もとっても嬉しいです…。」
磨子「フーッ!!麻衣ちゃん!!いいねぇ。女の子だねぇ。」
健司「麻衣は確か、悟お兄ちゃんが大好きなんだもんな。」

   麻衣、さらに真っ赤になって照れる。

麻衣「イヤだぁ!!でも私は、優しい悟ちゃんが大好き。いつまでも私達のお兄ちゃんでおってな。」

   悟の頬にキッスをする。

麻衣「大人になったら結婚しような、悟ちゃんっ!!」
悟「麻衣ちゃん、そうだね…いいよ。僕も麻衣ちゃん大好きだよ。」
麻衣「やったぁ!!悟ちゃんもっと大好きっ!!」

   強く抱きつく。磨子、健司、微笑みながら笑う。


柳平家・台所
   夕食をする家族。
麻衣「え、転校?何処に?どいで?」
紅葉「茅野市内なんですけどね、豊平小よ。」
麻衣「豊平?またどいでよ?」
紅葉「母さんとね、姉さんがそっちで仕事が見つかったの…だから近くへ引っ越すのよ。」
糸織「へぇー、僕転校なんて初めてだからなんかワクワクするな。」
紡「私もっ!!」
麻衣「でも、今までの友達たちとは別れるだでしょう?みんな…寂しくはないだ?」
糸織「や、ほれは…」
紡「ちょっとだけは、寂しいかも…」
紅葉「来年の春からね…だから学校には連絡をします。麻衣、磨子ちゃんや転校しちゃったけどお友達でしょ?健司君にもちゃんと伝えてね。」
麻衣「分かった…私、頑張る。新しい学校でも頑張りますっ。」
紅葉「そう、麻衣に…」

   微笑みながら

紅葉「みんなも突然ごめんなさいね。」
三つ子「いやいや、新しい旅たち…」
と子「何かワクワクですのぉ…」
紅葉「んまぁっ、と子まであんなことを言ってるわ!!」

   全員、笑う。

あすか「言ってるわっ!!おほほほほっ。」

   さらに全員、可愛さに吹き出して笑う。

柳平「そこで、父さんも実は来年の春からいつまでかはまだ分からないが、出張に行くことになり家を空けるが、」
麻衣「何処に?」
柳平「京都だよ。」
麻衣「京都っ!!んまぁ、遠くにいらっしゃるのね。」
柳平「あぁ…だで、柳平家の男共!!正三、糸織、ほしてまだ幼くはあるがあすか。柳平家と女性たちを頼む。」
正三、糸織、あすか「イェッサァーッ!!」
柳平「お、流石は勇ましい。ほれこそ我が柳平家の男共だ。それではしっかりと頼んだぞ。話は以上だ…とりあえずは…食べるとしよう…」
全員「いただきまぁーす!!」

   全員、美味しそうに食べ出す。


小口家・奥間
   その頃。

小口の声「ただいまぁ。」

   千里、ビクビクと震えている。

珠子「さぁ、パパのお帰りよ。覚悟はできているわね。では、そのままにしていらっしゃい。パパに事をお話ししてきます。」

   部屋を出ていく。千里はおつくべをして手をピッチリと膝の上に置き、うつむき加減で泣きそうになって恐怖にブルブルと震えている。足首の辺りから徐々に水が滴り落ちて座布団が少し濡れている。

   暫くしてそこへ険しい顔をした小口と珠子。

小口「千里…」

   千里、涙をためて震えている

小口「何故お前は毎回毎回こうも懲りずにこんな点数をとるのだ!!それはお前がきちんと勉強をしないからだろう?」

   お説教が始まる。千里、しゅんとして聞いている。千里のおつくべをした足の下は大分濡れている。

   (45分後)

小口「以上だ…」

   立ち上がる

小口「珠子、お風呂を沸かしてあげなさい。千里、早く着替えてお風呂に入りなさい。」
千里「はい…」
珠子「どうしたの?」

   千里、立ち上がる

珠子「まぁ、おしっこ…せんちゃんずっとトイレ我慢してたの?これは大変!!ちょっと待ってね、今お風呂沸かすわね。」  

   慌てて退室。千里、恐る恐る小口の顔を見る。小口はもう優しく微笑んでいる。

小口「千里、パパやママのお話の途中でも、おしっこしたかったら我慢しないで言いなさい。もらすまで我慢してたのか?」
千里「パパ…」

   泣き出す。

小口「よしよし、おいで…」

   千里を抱き寄せる。

小口「お前はすぐ泣く…全く泣き虫だなぁ…」

   静かに泣く千里を慰める。


   (しばらくご)

声「湯はりが終わりました。湯はりが終わりました。」
珠子「あ、せんちゃんお風呂炊けたわよ。入っていらっしゃい。」

   千里、珠子を見る。

珠子「一人で入れる?」
千里「ママは?」
珠子「せんちゃんももうすぐ5年生なんですから一人で入れるようにならないとね…頑張ってみるか?」
千里「怖いよ…だってお風呂お化けが…」
小口「千里、」

   頭を撫でる。

小口「お前も男だろ。だったら頑張れ!!お化けなんていない…な。いつまでもママと一緒にお風呂入ってたら恥ずかしいぞ。」
千里「うん…分かった。僕一人で入る…」

   千里、退室。

同・浴室
   千里、辺りを警戒しながら体を洗っている。


同・奥間
   小口、珠子。

珠子「え?豊平へ?」
小口「そうなんだよ…お前いってくれないか?」
珠子「偉く急なのね…いいわ、私でいいのなら。でも、子供たちはどうなるの?頼子はまだ小さいし、せんちゃんだってまだ甘ったれの10歳なのよ。」
小口「大丈夫さ、何なら京都から君の…」
珠子「夕子を?」
小口「あぁ、どうだ?」
珠子「そうね…ちょっと、せんちゃんにも夕子にも聞いてみるわ。」

同・浴室
   千里、鼻唄を歌いながらニコニコとして入っているが、

千里「ん、何だろこれ…」

   壁に張り付いている何かをつかむ。ゲジゲジ虫。

千里「…?」

   蒼白になって手を見る。ゲジゲジ虫が潰れている

千里「ひっ…」
ゲジゲジ虫「…っ(汗)」
千里「ぎゃぁーーーーーっ!!!!ママぁーーーっ!!!」

同・奥間
   小口、珠子、顔を見合わせる。

小口「何だ今のは?」
珠子「せんちゃんの声ね…いいわ、私見てくる。」

   走って出ていく。

珠子の声「どうしたのせんちゃん、大丈夫?」


同・浴室
   体アワアワの千里、虫が潰れた掌そのままに泣きそうになって固まっている。珠子、慌ててドアを開ける。

珠子「せんちゃんっ?」
千里「ママ…」

   手を見せる

千里「虫が…」
珠子「あら、潰しちゃったの?」
千里「わぁーーーーんっ!!!怖かったよぉ、僕もう嫌だぁーーっ!!」

   泣いて珠子に抱きつく。 

珠子「せんちゃんやめなさいっ、まだママお洋服着てるのよ。」

   そこへ頼子。キョトンとした顔をしている。

珠子「ほら、頼ちゃんがびっくりして見に来たじゃない、恥ずかしいわよ、笑われちゃうわ。」
頼子「ママ?」
珠子「何でもないのよ頼ちゃん、ほら、ならママとお兄ちゃんと一緒にお風呂入りましょうか?」
頼子「やったぁ!!頼子、ママと千兄ちゃんと一緒に入るっ!!」
珠子「しょうがないせんちゃん、ちょっと待ってなさい。今ママも入るわね。虫さんも綺麗に洗い流してあげるから…」
千里「ふんっ、うんっ…」

   まだ者繰り上げている


   (しばらくご)
   千里と頼子が並んで珠子に背中を洗ってもらっている。

頼子「ねぇママ、どうしてパパとママはいつも千兄ちゃんの事ばっかり叱るの?お兄ちゃん悪いことしたの?」
珠子「いいえ、ママはね、お兄ちゃんが悪いことをしたから叱っているんじゃないのよ。」
頼子「じゃあ何で?」
珠子「お兄ちゃんのため。お兄ちゃんがね、大きくなっても苦労しないように、叱っているのよ。」
頼子「ふーん?」
珠子「せんちゃん、ママはね、あなたのためにお勉強をしろと言っているの。せんちゃん、本当に今のままだったら高校にも行けないかもしれないのよ。それでも本当にいいの?」
千里「ママ…」

  
   しばらくご、三人で湯船に浸かっている。

珠子「せんちゃん、ちゃんと肩まで入る!!」

   千里を肩までいれる。

千里「やめてよママ、僕溺れちゃうよ!!」
珠子「大丈夫、お風呂で溺れません。万が一溺れたとしてもママがいるでしょ。」

   頼子は珠子に抱かれている。

珠子「さぁせんちゃん、暖まってきたら100数えてどんぶかっかね。」
千里「うんっ。」

   しばらくご、三人で数を数えている。

千里「ねぇママ…おしっこ…」
珠子「又?お風呂入る前にしたんじゃないの?」
千里「したけど又したくなっちゃったから…」
珠子「なら仕方ないから早く上がってお便所行きなさいっ!!」
千里「ううん、」

   悪戯っぽく

千里「もうおもらししちゃった。」
珠子「おもらししちゃった…って?」
千里「今…ここで…お風呂の中。」
珠子「んもぉっ、千里っ!!」

   千里、急いでお風呂から飛び出して行く。

千里「ごめんなさぁーいっ!!」
珠子「んもぉ、どーしょうもないお兄ちゃんでちゅねぇ。」
頼子「千兄ちゃん、お風呂の中でおしっこしちゃったの?」
珠子「ですって…」

   やれやれ。

珠子「さぁ頼ちゃん、後10数えたら上がりましょうか?」
頼子「はいっ。」

   二人、数を数えだす。



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