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石楠花物語小学校時代
長野旅行
『石楠花物語小4時代』

城南小学校前・校門
   小学四年生が全員集まっている。金子一恵と小口千里

金子先生「それでは、出発の説明をする前に今日から新しく2部に加わることになります、転校生を紹介致します。では、小口君、自己紹介をして。」
千里「はいっ。京都、京都市から参りました小口千里です。みんな今日から仲良くしてください。宜しくお願いします。」
金子先生「はい、では小口君、君はね…」

   千里に指示。千里、言われた通りの場所に加わる。後藤秀明、小平海里、永田眞澄、北山マコ、鈴木真亜子、微笑む。

後藤「よ、俺、後藤秀明。」
小平「俺、小平海里。仲良くしよ。」
千里「僕、小口千里です。宜しく。」

   弱々しく微笑む。

眞澄「あんた本当に男?男の癖に偉い控えめね。」
千里「君は?」
眞澄「永田眞澄ってんの。」
マコ「ふーん、あんた京都から来たのね…こっちの事全く分からないでしょ?」
千里「うん…」
マコ「いいわ、今日はこれから長野旅行だから私達が色々と教えてあげる。」
千里「ありがとう…」
マコ「私は北山マコ、」
真亜子「私は、名前似てるけど、鈴木真亜子。宜しくね。」
千里「うん、こちらこそ。」
金子先生「みんなぁ、あなたたち何よそ見してるの?今は先生の説明をちゃんとお聞きなさい。」

   6人、前を向き直る。


バスの中
   千里はマコと並んで最前列に乗る。窓際。千里はワクワクと頬を踊らせている。

マコ「何か困ったことがあったらいつでも言ってよね。」
千里「うん。」

   バスは出発する。


宮川長峰小学校前
  四年生がバスに乗り込む。柳平麻衣は最前列の窓際。田中磨子と並んで座っている

磨子「ねぇ麻衣ちゃん、いよいよね。」
麻衣「えぇ!!」
磨子「気持ち悪くなったり何かあったらすぐに言ってね。」
麻衣「ありがとう、磨子ちゃんもな。」
磨子「うん、でも私は大丈夫よ…でも、あーあ…」

   退屈。

磨子「つまんないの、去年までずっと一緒だったあのちびが今年はいないなんてさ…」
麻衣「健司のこん?」
磨子「そーさやぁ、そいつしかおらんらに!!あいつ結構、苛め概があったのに…」
麻衣「こらっ!!」

   二人、クスクス。

麻衣「でも原村だだもん、すぐに会える距離だだに。ほれに健司も、又私達と遊ぶっつっとったに。」
磨子「そうね。コスモス湖岸で又あったときに思う存分弄ってやろっと!!」

   後ろには横井哲仁、吉岡末子が乗っている。

横井「ほーだほーだ、あんなやつどんどん苛めて泣かせてやれ!!」
末子「そんなこといっててつ、あんた健司がかわいくてしょーがないんでしょ?」
横井「うっせー!ただあいつが男の癖に弱虫で泣き虫だもんで鍛えてやるんだよ!!」


   原小の岩波健司、くしゃみをする。

健司(嫌だな…風邪かなぁ…。)



   宮坂康恵先生、前に出てくる。

宮坂先生「それではみなさん、高速道路に入ります。カラオケ大会でも始めますか?」

   クラスメート大盛り上がり


城南諏訪小のバス
   高速道路。カラオケが行われている。

全員『♪愉快な五人の家族が揃って…』

   千里、歌いながら少しずつ切なそうな表情

千里(ママ…僕本当はすごく不安だよ…怖いよ…)

   涙が溢れて溢れる

千里(京都の学校へ帰りたいよぉ…)

   俯く。マコ、ちらりと千里を見る。

マコ「千里くん?」
千里「…。」
マコ「千里くん、大丈夫?どうしたの?」

   手を挙げる

マコ「先生、宮坂先生、千里くんが泣いてます。」
金子先生「千里くん?どうしたの?大丈夫?」

   千里、泣いたまま

金子先生「千里君?」
眞澄「先生、私とマコちゃん、席を交代してもいいですか?」
マコ「私もそれがいいと思います。眞澄ちゃんの方が…」
金子先生「分かりました。」 

   マコ、眞澄と席を交代する。

眞澄「千里くんよね、」

   微笑みかける

眞澄「私、永田眞澄ってんの。あんたは、千里くん。だから今日から私、あんたのことチーちゃんって呼ぶわ。」

   変顔などをして必死に笑わせようとしている

眞澄「ほら、この私の財布、臭い嗅いでみてよ、醤油臭い。」
千里「本当だ…」

   弱々しく微笑む。

千里「眞澄ちゃん…ありがとう。」
眞澄「良かった、チーちゃんやっと笑顔になった。」


姨捨SA
   宮川長峰小学校のバスと城南諏訪小学校のバスが止まる。

麻衣「あー、私、トイレトイレ!凄いトイレ行きたかったぁ。」

   照れて頭をかく

麻衣「いやぁ、水筒のお茶飲みすぎちゃった。」

   水筒を降る

麻衣「お昼の分、へーないや。」
磨子「私も、トイレ行きたい。麻衣ちゃん、一緒に行こ。」
麻衣「えぇっ!」

   二人、トイレに走っていく。


   後藤、小平、眞澄、マコ、真亜子もバスを降り始める。

眞澄「あれ、チーちゃん、君は?降りないの?」
真亜子「おしっこは?」
千里「うーん、今はあまり行きたくないな…」
後藤「そうか?ここで済ましておいた方がいいぜ。」
小平「当分行かれなくなるかも。」
千里「え、そうなの?じゃあ僕も行く…」

   6人でぞろぞろとトイレへと向かう。


バスの中
   麻衣たち、千里たち、其々にわいわいとしている。千里の機嫌はすっかりと直って笑顔で打ち解けている。


長野県庁・建物内
   宮川長峰小学校が見学をしながら話を聞いている。

磨子「…つまらな…」
麻衣「私もそう思う…」
横井「俺も、」
末子「私もよ、」

   四人、クスクスとしながらメモを取っている


   麻衣たちが見学を終えると、入れ替わりに千里たちの学校が入ってくる。同じ様に見学をして話を聞きながらメモを取っている。

マコ(全く、こんなとこ、一体何のために来るのかしら?)
眞澄(つまらない…)
真亜子(広いなぁ…)

   千里は不安そうな表情挙動不審にキョロキョロ

千里(何か又トイレ行きたいな…ここのトイレは使えないのかな…)


   メンバー、見学にくるくると歩き回っている。


博物館
   麻衣たちが見学している。

宮坂先生「それではみなさん、自由時間なので12:30分まで好きに行動を、但し班ごとしてください。時間になったらここへ集合するのです。いいですね。」
全員「はいっ。」

   麻衣、磨子、横井、末子、丸山修の班。

丸山「よし、行こうぜ。何からやる?」
麻衣「ほーね、でもまず色々見てみんと何があるかわからんに。」
磨子「それもそうだ。見に行きまいに。」
末子「あぁ。」
横井「てか俺なんか、腹へったな。」
麻衣「ほりゃ私もだに。」

   笑いながら行動。


動物園
   城南諏訪小学校がシートを広げて其々にお昼にしている。

眞澄「チーちゃん、一緒に食べよ。」
千里「あんっ!!」

   時々もじもじ。

眞澄「どうしたの?」
千里「んんん、何でもない。」

   笑ってお弁当箱を開く。

千里「うわぁ、美味しそう!!」
眞澄「わぁ、チーちゃんのお弁当、カレーだ!いいなぁ。」
千里「カレーじゃないんだよ、焼きそばカレー。下が焼きそばなんだ。食べてみる?」
眞澄「やったぁ、なら眞澄のハンバーグも半分あげるね。」
後藤「お、俺ともなんか交換しようぜ」
小平「俺も俺も!!」

   千里も嬉しそうに食べている。

千里(ん、ん、美味しい…でも、トイレ…。)

   やがて麻衣たちが博物館から出てくる。

麻衣「はぁ、楽しかった。やっとお昼だって。」
磨子「ええ!麻衣ちゃん、一緒に食べよう。」
麻衣「勿論だに!!」

   宮川長峰小学校も思い思いに広がって食事をしだす。


   城南諏訪小学校

金子先生「それでは、みなさん、お昼は終わりましたね。では、博物館の見学と自由時間となりますのでまずは整列して。お並びなさい。」 
全員「はいっ。」

   整列して、案内と共に先程の施設にぞろぞろと入っていく。


博物館
   
金子先生「それでは、これより自由時間です。13:30になったら再びここに集合してください。それまではこの施設の中で自由に過ごしなさい。以上。」

   其々に行動。

眞澄「ねぇチーちゃん、私と遊ぼ。」
千里「うん、いいよ。どこ行く?」
眞澄「そーね…ならまずはぁ…」

   眞澄、千里の手を引いて小走りに行く。

小平「何か眞澄、千里がお気に入りみたいだな。」
後藤「確かに…そうだな。」
真亜子「でも、良かったね。千里くん笑顔になって。」
マコ「うん。だってなん知ろ今日転校してきて今日だもん。知らない環境の中知らない人ばっかりにかこまれてさ…きっと不安だったのね。」

   四人も歩いていく。


   眞澄、千里、二人で遊んでいる。遊び始めて30分が経過している。

千里「…。」
眞澄「?チーちゃん?」

   不思議そうに近づく。

眞澄「どうしたの?具合悪いの?」

   千里、固く口を結んでいる。

眞澄「ん?」

   覗き混む。

眞澄「チーちゃん、ひょっとしておしっこしたいん?」

   そこへ金子先生

眞澄「あ、金子先生、金子先生!!」
金子先生「どうしたの?」
眞澄「チーちゃんが!!千里くんが!!」
金子先生「千里くんが?どうしたの?」

   千里を見る。

金子先生「千里くん、どうしたの?」
千里「先生…」
金子先生「トイレに行きたいの?」
 
   千里、静かに頷く。

金子先生「今ね、小平君にもトイレの場所聞かれてね、ちょうど良かったわ。だから今、あなたにも聞きに来たのよ。」

   千里、泣きそう。

金子先生「もうもれちゃいそうなの?どうして早くに言わないの?トイレ行きたかったらいつでもいっていいのよ。ほら、こっちよ。急ぎましょう。」
 
   千里の手を引いて小走りに連れていく。

動物園
   麻衣、磨子、横井、末子、固まってお昼を食べている

麻衣「うーんっ!!美味しい…」
磨子「健司がいれば良かったのになぁ…」
麻衣「ほーね…」

   お弁当を次々と口におかずを入れながら

麻衣(どーしとるかしら、今ごろあいつ…)


原小学校・教室
   給食を食べる健司。周りに、岩井木徹、西脇靖、清水千歳、名取未央、平出望美、菊池秀一がいる。

岩井木「なぁタケ、お前何処の学校から来たんだっけ?」
健司「え、俺?…茅野だよ…宮川長峰から。」
西脇「ふーん、ちんめいな。お前…背、何p?」
健司「…130…。」
西脇「かわいいなぁおい。」
平出「で、なんでお前原村に来たんだ?」
健司「お父さんの会社がこっちにあるから、近くに家建てたんだ。」
名取「ふーん、親父なんの会社?」
健司「お酒作る会社の社長さんだよ。」
清水「んじゃお前は、社長の御曹司坊っちゃんって訳か。」
健司「坊っちゃんって、ほんな凄くはないよ。ただのお酒作りの会社だもん。おじいちゃんの代からの古いお蔵なんだ。」
菊池「ふーん…」
健司「ほう。」

   牛乳を一気のみ

健司「ふーっ、飲んだ。…俺牛乳って大嫌い。だもんで先に飲んじゃう。」
平出「タケみたいなのはチビだからな、牛乳飲まんと。」
清水「せめてあと、少しは伸びろよ。10pくらい…」
健司「せめてなぁ…卒業までにはもっと大きくならなくちゃ…お!!」

   お皿を見る。

健司「やりぃ!残りはあと俺の大好きなもんだ!」

   にこにこと鳥の照り焼きを箸で掴む。

健司「んー、待ってましたとりちゃん!頂きまぁーす!!」
岩井木「後、ミネストローネのセルリーとセルリーのサラダが残ってるぜ。」

   健司、食べようとするが咳き込む。


博物館・トイレ
   千里、小平が出てくる。外に眞澄。

千里「眞澄ちゃん、」

   恥ずかしそうに笑う。 

千里「さっきは…ありがとう。先生に言ってくれて…」
眞澄「良かった。だってチーちゃんあのままいたらもうもれちゃいそうだったでしょ。」
千里「うん…」
小平「千里、恥ずかしがらずに言えよな。」
千里「うん、そうする。」
小平「さぁ千里、一緒に遊ぶか?」
眞澄「私もね。」
小平「ヒデも呼んでくるよ。」
千里「うんっ!!」

   満面の笑み。


善光寺・中
   宮川長峰小学校、城南諏訪小学校が同時にいる。

金子先生「それではここで、偶々偶然、茅野市の宮川長峰小学校のお友達と一緒になりました。なので、同時におかいだんめぐりに入ろうと思います。」

   ざわざわ

麻衣「おかいだんめぐりって?何?」
磨子「麻衣ちゃん知らない?」

千里「ねえねえ、おかいだんめぐりって?何?」
眞澄「そっか、チーちゃんまだ今日、長野県に来たばかりだもんね。」
マコ「おかいだんめぐりってのは、暗い地下通路を手探りのみを頼りに歩くのよ。」
後藤「そ。それで壁の鍵に触れたら」
小平「ちょべりぐ!」
真亜子「や、小平…それ少し古いかも。」

   千里、泣きそうになる。

千里「何?…暗いの?」
眞澄「うん、真っ暗闇…」

   千里、恐怖にひきつって固まる。

眞澄「何?チーちゃん、暗いの苦手?」
千里「僕…怖いよ…」
小平「何だよ怖がりだなぁ。」
後藤「お化け屋敷じゃないんだからさ…」

   マコ、業とらしく

マコ「でも、それは昔々…ここの地下に閉じ込められて、出られなくなったご婦人の白骨化した死体が…」
千里「わーんっ!!」
真亜子「マコ、変な作り話やめなよ。転校生泣かせるな。」

   千里、泣き出す。


麻衣「見てあの子、可哀想…泣いちゃった。」
磨子「何かあったのかしら?」
横井「さぁな…」
末子「よくあることじゃない?ちんまいもんでいじめられたんよ、きっと。」


眞澄「いいわ、大丈夫よチーちゃん。」

   羽織っていたボレロを脱ぐ。

眞澄「私がチーちゃんの面倒を見る。ほら、チーちゃん…」

   ボレロの片端を千里に持たす。    

眞澄「絶対離さないでね…私と行こ。この端持って。」
千里「眞澄ちゃん…」

   涙をぬぐう。 

千里「ありがとう…」

   千里がつかむと、眞澄がもう片方の端を持つ。

   軈て、全員が其々に入っていく。


同・地下通路
   全員が其々にぶつかっている。声のみが聞こえる。

千里「眞澄ちゃん?眞澄ちゃん?何処?僕もう嫌だよぉ、帰りたいよぉ…」
眞澄「大丈夫よ、チーちゃん。眞澄はここにいる。」
千里「ふぇーん、うえっ、うえっ。」
マコ「泣いてんの誰?千里くんでしょ?」
小平「全く泣き虫だなぁ…こんなとこ泣くようなとこじゃねぇーだろうに!!」
後藤「そうだよ。千里、眞澄といりゃ大丈夫だろ。しっかり歩けよ。」
千里「うん…」
真亜子「ちょっと痛いじゃないの誰よ!!?人の足、ふんずけないでよね!!」

横井「暗いなぁ…おーい、みんないるかぁ?」
末子「イェッサァー!!」
磨子「イェッサァー!!」
麻衣「イェッサァー!!」

   カチャカチャ

麻衣「お?」

   千里もカチャカチャ

千里「あ!」
麻衣、千里「見つけたぁ!!」

   暗闇の中では麻衣の千里の手が重なりあっている。


長野新幹線の中
   開通前。見学をする。

麻衣「でな、私が触った瞬間に誰かの手と重なりあった。」
磨子「ん、私は触らなかったで違うかも。」
横井「麻衣、お前触ったのか。いいなぁ、俺は触ってないぜ。」
末子「私も。」

   ニヤリ

末子「ひょっとして男の子だったりしてね。将来結婚する子だったりして。」
麻衣「いやね、みんこったら!!やめて。ほいだけど…」

   うっとりと車内を眺める

麻衣「これが、ほの内動き出すんね。凄い!!一番乗りは私達か。」
磨子「この、何か…これは記念すべき瞬間だね。」
横井「これって、どこまで通じる新幹線だっけ?」
末子「京都とか九州じゃない?」
麻衣「や、ほれ全然違うし…」
磨子「いやいや、東京じゃないの?」
 

梓川SA 
   用を足す千里、後藤、小平。

千里「でさ、僕何かカチャカチャするもの触ったんだ。」 
後藤「へぇー、良かったじゃん。」
千里「でもなんか、誰かと手が重なりあったような気がするんだ。」
後藤「ほりゃな、まぁあれだけ人もいるし…でも、誰だ?」
小平「さっきマコが話してた昔の婦人の…」
千里「だーかーらーやーめーてーよーぅ!!」
後藤「それって、女の子か?」
千里「分からないよぉ、そんなの暗かったんだもん。」
後藤「女の子ならいいな…ひょっとして将来お前のお嫁さんになる子だったりしてな。」

   千里、ぽっと赤くなってニヤニヤ。

千里「えへっ…」
後藤「お、こいつ赤くなった!赤くなった!」
小平「やっぱりどんなに小さくてもお前も男だなぁ…」

   二人、千里の肩を抱いて冷やかしながら出ていく。


   麻衣たちも帰路のバスにのって高速道路を走っている。カラオケ大会をやりながらべちゃくちゃとおしゃべりをしている。


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