09
本当は分かってた。
いつも傍にいて、大げさすぎるほど喜怒哀楽を見せていた理由を。
私の分だったんでしょ?
友達に面白みもない人だと思わせないようにしてくれてたんでしょ?
そして、あの教室の真ん中のキラキラ輝くところにいつも連れて行ってくれてたのは、アンタだった。
私が今でもそこの場所に呼ばれるのは、アンタがいつも連れてってくれてたからだー…
悪いけど、今では面白みのない人間だと思われてるし、一緒にお昼を食べてもいないけどね?
あははっ。
あははー…
「−…さ、みしいよ…。
ねぇっ!アンタがいないのは…
寂しいよぉ…
帰ってきてよぉっーーーー…!!!」
部屋中に響いて、私の耳に帰ってきた私の声。
あははっ聞いてる?
叫んだんだ、私。
ねぇ、私 言葉にしたよー…?
「だからっ…だから嫌だったんだよぉっ!」
ねぇ、言葉にしたら帰ってくるの?
ねぇ、寂しいって思ったら次の日もあえるの?
ねぇ、涙を流したらアンタは傍にいてくれたの?
無理なんだから、だから何も感じなくてよかったんだよ!
だから何も感じない振りでよかったんだよ!
寂しいのは私ばっかりじゃん。
こんな手紙一枚が、どうしようもないほど嬉しかった。
アンタの中に私がいたこと、嬉しかった。
クラスの子、みんなにこんな手紙を書いてたって、それでも私にも送ってくれたこと、こんなにも嬉しいと感じているのにー…
もうアンタはいない。
それでも ねぇ、叫んだ今何かが変わったのかなー…?
私は手で握り締めてくしゃくしゃにしてしまった手紙をもう一度開いた。
そして見れた最後の文字はアンタらしい書き方だった。
“俺を思えば泣けたでしょ?
それでいいよ。それでようやくセンチメンタリスト椿にたどり着いたわけだ。
泣かなかったらどうしようかな…
まぁ椿だから泣いてくれてるだろうからいいか。
そしたらさ、椿が視る未来が、視えただろ?”
だって。
本当アンタはよく分からない。
いつの間にかポッと現れて、いつの間にかポッと去っていった。
気まぐれでしょ?アンタなんか。
ただの気まぐれの癖に、こうやってポロポロと私に足跡だけ付けていくー…
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