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05
変な事を言ってからすぐだった、アイツが姿を消したのは。
いわゆる引越しっていうやつで、私を含めてクラスの人達がそれを知ったのは、引っ越す当日だった。
アイツ曰く(いわく)悲しいと思うのは一日だけでいいじゃん?だった。


ただ、この日 私は自分というモノを再確認する事になった。
みんなが泣いたりしながら別れを悲しんでるのを見ながら、私から出た言葉は ただの
『バイバイ』
の一言だったんだからー…

たった一言、涙も添えないでそう言い放った。


ねぇ速見、やっぱり思ったでしょ?
やっぱり私にセンチメンタルなんて言葉は似合わないんだって。

私はそう思ったんだからー…








「ー…暑い。」



私はそう言って片手を太陽にかざしてみた。
あまりの暑さにやられてそんな事を考えていた私は苦笑した。
あ、もしこれが“笑い”といえるのなら私は結構笑っているのでは?
なんて馬鹿な事思ったのは私だけの秘密。


そんな事を思っていたら、お昼も食べる気が失せてしまって、そのまま教室に重さも全く変わらなかった弁当を持って帰ることにした。
それからの授業は全て耳から入っては、耳から抜けていった。





「おい、竪脇(たてわき)椿。お前だけだぞ進路調査の紙まだ出してないのは。
なりたいものでもいいんだから、まずは書いて来い、明日までだからな!」


放課後の廊下で私にそう声を掛けてきたのは、担任の教師だった。



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あきゅろす。
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