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03
教室はこんな真夏日みたいな日にはもってこいな程、ガンガンにクーラーがきいている。
けれど私にとっては寒すぎて、だから私は人目に付かない屋上へと足を運ぶ。


施錠してあったはずの屋上の鍵は、もうとっくに壊れているのだから…
ちょっと昔の先輩とかが、いろんな手を尽くして開けたのだろう。
私にとってはラッキーなこと。

錆び付いているのか、扉が重い音を立てながらゆっくりと開く。
そしたら誰もいない空の世界が広がっていた。
暑い暑い夏が目の前で感じられるし、そこには私以外は誰もいなかった。
髪をなでる風も、今はお休みのようだ。

私は扉のおかげで出来た影に腰を下ろす。
ここは、汗がにじみ出てくるほど暑いのに、教室よりも快適だと私に感じさせる。

お弁当をひざの上に置き、空を見上げれば自然と深いため息が漏れたー…




私という人間は、キラキラの人達とは程遠い存在感がないといわれる側の人だ。
あまり感情を表に出さない人だと言われる事が多い。

確かに私自身、涙というものを最後に見たのがいつなのか、とか最後に爆笑したのがいつなのかなんて、もうさっぱり記憶の底から抜け落ちている。

そんななんにもない私。

だけどふと、懐かしい夢を見た今日は何故だか不思議だった。


「速見ー…」


私はポツリと夢に出てきた人の名前を囁いてみた。



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あきゅろす。
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