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だけど、これからたくさん笑ってやろうと思った。
だけど、これからたくさん泣いてやろうと思った。
この世界で感じる全てが私にしか表現出来ない世界でもあるのなら、創り出すのも悪くないんでしょ?
決めた。私は私の感じた全てを言葉にしてやるよ。
ありったけの言葉を文字につめてやる。
アンタよりは幾分ましな、達筆な字で、言葉にするよ。
まずは第一歩。
アンタに手紙を書くよ。
アンタの住所がきっちりと書いてあるから。
私は机の引き出しから、もう何年も使われないで眠っていたレターセットを取り出した。
小さい頃に買ってもらってそのままだったのだけど、今 役に立つ時がくるなんて思いもしなかった。
そして筆記用具を手にとって、その紙にただ一言書くために、どまんなかに鉛筆を走らせた。
“好き。だから泣いてやる”
遅いんだよ、手紙をよこすのが。
もう後一日遅かったら、私の進路はなんの面白みもない“普通”を進んでいたんだよ?
ーーーーーーーー
ーーーーーー…
「ねぇ、お昼一緒してもいいかなー…?」
「えっ?うん、もちろん!」
お昼は、なれないけどアンタがいた席でクラスのキラキラの人達と食べるようになったよ。
「おい、竪脇 椿!進路は決まったか?」
そう言った担任の先生には、アンタが導いてくれてた私の道を告げてみたよ。
「言葉を書く人になるよ。」
笑いながら言ってやった。
びっくりしてたよ。
担任の先生も、クラスのみんなも。
もしかしたら私の笑顔は殺人的に怖いのかもしれない。
それでも、笑う。泣く。怒る。
そんな毎日を送ってみせるよ。
私にしかないモノをアンタのいない所で頑張るのはアンタにお手紙を貰ったから。
ずっと言えなかった。
毎日毎日近くにいた君に、ありがとうでさえ。
でも今度アンタに会うときはとっておきの笑顔で、ずっと言いたかったことを伝えてみせるよ。
センチメンタリスト椿は、この今与えられた世界で必死になって生きる事を アンタのお手紙に誓います!
感情も、すべて吐き出して。そしたら私はグッとアンタに近づける気がする。
大切なお手紙は
そっとしまってー…
ーENDー
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