01
今日も部活で疲れきって俺は帰って来た。
そして鉛みたいに重たくなった身体をようやくベッドへとダイブさせてやった。
それが5分ほど前の話。
そして今俺の部屋に聞こえる声は、俺の声じゃない…。
「えぇ!?なんで?…うん、うん…でもっ。
違う!もういいって言ってんじゃん!わかったバイバイッ!さよならっ!」
そんな声を響かせて、携帯電話をブチッという音が聞こえるんじゃないかっていうほど強く電源を切った人物が…今、俺の部屋にいるー…
「…っもう!俊!」
「いやいや…なんで俺にあたるんだよ。てか、ここお前の部屋じゃないし、家でもないけど…。
それよりもなんの電話してたのかなんて、分かりきっててもう聞きたくない…。」
ベッドに身体を倒したまま、ベッドの脇に座り込むその女…瑠香に言った。
しかし、瑠香はさっき電話してた時よりも怒っているような声色をさせて俺につめよる。
「聞いてよっそれだけのために俊、待ってたのにっ!」
「おまっ…それだけのためにって心の声漏れてるから…。」
「あっ…でもでもっ!俊の好きなマンゴーチョコ買ってきてあげたっ!」
一瞬気まずそうな顔をしたと思えば、誇らしげな顔をして通学鞄からマンゴーチョコ(定価10円)を2つ取り出した。
「いやいや、それ好きなのはお前じゃねーか。」
「だよねー俊はマンゴー食べれないもんねー。
だから2つ共私のモノにしちゃおうっ。」
理不尽すぎる(というか元からそのつもりなのがよく分かる)言葉を言って、瑠香はマンゴーチョコを一つ口に放り込んだ。
そしてガリガリと、これまた そのチョコが可哀想になるぐらい豪快な音をたてて瑠香は食べる。
「すげーマンゴーの匂いがするんだけど…。」
そう言って瑠香の隣に腰をようやく下ろせば、ガリガリという音が小さくなっていき、代わりに もっと厄介な音がする。
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