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遊具
☆BW
☆【育てることと、伝えること】の続き
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かなり広めな子供部屋。
そこにはさまざまなありとあらゆる種類のおもちゃ。
子供一人にはいささかおおきな遊び場に、一人の少年。
人間は彼一人。
そしてまわりにはたくさんのポケモン。
みなどこかしらに傷があった。
(ポケモン達は僕に言った。)
(人間が、きらいだと)
英雄になれば。
人間に傷つけられるポケモンをなくせる。
それを教えられ、少年は思う。
――僕は、英雄になる
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「N」
子供特有の高い声がNの名前を呼ぶ。
Nは自分の腰あたりの背しかない子供の目線にあわせ、しゃがんだ。
ぎこちない動きだが、これでも成長した方だ。
「N、みて!」
花がバックに咲き誇るような満面の笑みを浮かべた幼稚園児にNはほんわかと頬を緩める。
人と触れ合うことには慣れていなかった。
Nは、ひとりぼっちで生きてきたことを悲しむようなことはしなかった。
人間一人と、ポケモンが複数の生活。
得られたものはポケモンの声を聞くことができると言う能力。
これが無かったら、というものを考えることになってしまうからだ。
目の前では、小さな人間の子供たちが、小さなポケモンの子供たちと戯れている。
子供の見せてきたものは鳥ポケモンの羽を束にしてリボンで止めたものだった。
白っぽい、スワンナのものであろう羽、青のウォーグルのもの、灰色でおそらくはケンホロウの羽。
ワンダーザブリッチで集めたの、と子供は誇らしげにいう。
そして彼女は予想もしていなかったことをそのきらきらした笑顔のまま、
「Nにあげる!」
しゃがむために折られた膝のあたりにそれを置かれ、えっ、とNは目を一回りほど見開く。
子供はにこにこと笑っている。
(えっと、)
何を言えばいいのだろう。
いらない、などと言えばきっとこの子供は悲しむだろう。
最悪、泣き出してしまうかもしれない。
しかしきっとこれは彼女の大切なものだろう。
あの広い橋の上でこれらを見つけるのは、ましてや空中を舞うこんな小さなものを運よく掴み取るのは容易ではない。
貰っていいのかさえ分からない。
緑色の髪の少年が返答につまった、そのときだ。
「Nー、」
名前を呼ばれて振り向くと、ここへ自分を連れてきたトレーナーが苦笑してこっちを見ていた。
何が言いたいのだと思ったが、はやく返事をしないとその子が困ってるぞ、といいたいのだろう。
しかしいやみのない、無邪気な微笑みをうかべて言った。
「ありがとう、っていえばいいんだよ。ありがとう、って。」
そんな大事そうなものを貰うんだ。
大切にするよっても伝えろー、とトレーナーは言った。
Nはふらふらと視線を泳がせ、
「あ・・あり、がとう。大事にするよ。」
「うん!大切に取っておいてね!」
子供はきゃっきゃと笑うと砂場の方へ駆けて行った。
(誰かに物をもらうなんて)
(ずっとなかったから)
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うーん、この所、つーかBWほのぼのばっかだな。
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