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島田「進学校はいつも勉強に追われて、こんなに信じあえる友達は出来ないと思う」

「同感」

島田「けど・・・残念なのは退学者が何人もいることだな。」

「・・・・」

島田「やむをえない事情があっての中退も確かにあった。けどほとんどは、やる気がなくなって、ずるずるやめたのがほとんどだった。あいつらを支えてやれなかったのが悔しい。」

「たしかにな」

島田「これからは落ち込んでる奴がいたら声かけあおうや。だまって中退させずに、みんな一緒で卒業しようや。な?」


拍手が起こる――



須美子「はい、戸田須美子でございます。私(わたくし)、いいところへお嫁に行けないそうです。」

「ははは―――」

須美子「なんたって花房学園出身だからなぁ。結婚式のときとかいうじゃん。『新婦は何々高校を優秀な成績で卒業し、しかも品行方正で』なんてさ。そこで花房学園が出たらぶちこわしなんだってさ」

「ひど。」

「誰が言ったの?」

須美子「うちの母親――」

「ひどーい」

須美子「後あのさ、夏に親戚の葬式でさ、親戚の伯母さんにバッチリ聞かれたわけよ。『須美子ちゃん何年生?』『そう、学校はどちら?』私、わざとでっかい声で『花房市の花房学園高校です』そしたらビックリされて・・・頭にくるじゃん」

「来る来る」

「トサカに来る」

須美子「ウチの母親、私の膝つねってさ、『大きな声で言いなさんな』私もっとでかい声で『どうして?花房学園だから花房学園っていったのに。なんでいけないわけ?』って。そしたらシラーっとしちゃってさ。」

「須美子らしいじゃない」

須美子「そうです。おかげさまで親戚中、誰も口をきいてくれなくなったのでございます。失礼いたしました」





桑野「おれは・・・県立の生徒を八人殴った。電車でガンつけてきたやつ、黙っておれの指定席に座ったやつ、ウチの学園の女の子にちょっかいかけたやつ・・・あと、県立の教師も一人」

「おいおい」

「反省はしてんだろ?」

桑野「反省はしていない。」

「は?」

「いばっていうことか。おい」

桑野「こっちにだってプライドがあるし。勉強も負けてるしサッカーも野球も。なめられっ放しじゃねぇか。ケンカしか思いしらせるられるものは無いから、俺はお前らのために学園の名誉を守ってやったんだぞ」

「むちゃくちゃだ」

「おまえは同級生も殴るだろ」

「おれ、3回も殴られた」

「おれも――」

桑野「それは友情のシルシだ」

「「嘘こけ」」


「桑野。お前は服部をしょっちょう殴ってたろ。アイツは学校を辞めたぞ。責任は感じないのか?」

桑野「バカいえ!それは絶対違う」

「どうちがうんだ」

桑野「服部はよ、よく孤立してただろ?友達いなくて」

「どう関係があるんだ」

桑野「最後まで聞け。・・・この学校で落ちこぼれたら救いが無い。誰かがかまってやらないと落ち込むんだ」

「だからって殴るのは――」

桑野「俺は口下手だから――」

「なんだそれは」


笑いが起こる。


「結局、服部は中退したじゃないか」

桑野「俺のせいじゃねぇよ!――あいつは無免許でバイクやって定額処分食らっただろ。そんで登校拒否が始まったんだ。そんで俺は服部を殴りもって引きずり出して校門の前まで来るんだが、そこでいっつも動かなくなるんだ。泣き出してさ。『先行ってくれ、すぐ行くから』ってさ。そんでいつも逃げちまったんだ。」

「・・・・」

「へぇ・・・知らなかった」

桑野「薄情なんだよお前らは!わかったか!」




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あきゅろす。
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