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Freedomwing〜神モノガタリ〜
遺言(2)
 ライラは渡された紙切れを丁寧に広げ、その文面に目を通した。
 急いでいたのか、走り書きの上、インクは所々掠れていたが、父の日記に書かれてあった筆跡と同じものだった。
『親愛なる息子・ライラへ。
お前がこの手紙を読んでいる頃には、私はもう死んでいるかもしれない。お前にはまだまだ教えていないことがたくさんある。それはお前が大きくなったとき、必然的に知らされるはずだ。…だが、知っておかなければならないこともある。お前にとっては重すぎるかもしれないが…。お前は生まれもって戦うことを宿命づけられた存在…剣神だ。この世界に光をもたらすべく生まれ落ちた救世主なのだ。私は救世主のお前を息子に持てて誇りに思っている。光をもってして世界を導け。私の大切な息子…ライラよ。
最後に、幼いお前を置いて、先に逝った父を許してほしい。…強く優しい子であれ。』
「…父さん…っ。」
途中から涙で文面が滲み、読むのも難しかったが、ライラは何とか最後まで読み切り、丁寧にその手紙を折り畳んだ。
 父の溢れんばかりの愛情が詰まった手紙をズボンのポケットにねじ込むと、涙を袖で拭い、
「おじさん、ありがとうございます…。」
「セルシールさんは…とても優しく、偉大な方だった。君はそんな父上を持てたことを誇りに思わなければならないよ。」
男性は静かに微笑むと席を立ち、
「では、そろそろ私は行くとするよ。」
「また寄ってくれよ。」
何事もなかったかのように、主人は男性を見送ると、小さく嗚咽を漏らすライラにホットミルクを差し出してくれた。
「これでも飲んで。俺からの奢りだよ。」
「ありがとう…ございます。」
ライラはそれを受け取って、ゆっくり飲む。
 また、ベルが鳴った。
「いらっしゃい!」
ライラの隣りに、茶髪の青年が座った。
 この青年との出逢いが本当の旅の幕開けだった。

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