そして放課後に、、、 中学三年、受験生…15歳 俺、坂木悠介は彼女のいない歴を記録更新中の普通な男子中学生であった…。 はずだった。 今まで普通に女の子が好きだったし、これからもそうであると思ったし。こんな事になるとは、まさか… ま さ か、 自分が男を”好き”になるなんて… 俺はホモだったのだろうか?いや…でも女の子は普通に可愛いと思う。興味がないわけでもないし、ドラマの俳優とかをみてもトキメいたりしない。魔性のホモ、なわけではないと思う。たぶん 「悠介〜!お前おせーよ!早く帰ろーぜ!」 瞑想していると突然後ろから声が届く。それは、放課後の度に来るいわゆる日課みたいなもの。 これも毎度の事で、来るであろう襲撃にギュッと目を閉じて俺は身構える。瞬間、背中に重りを感じた。ドキンッと心拍が上がっていく。このうるさい音が聞こえる前に俺は、毎日同じ言葉を声の主に呪文みたいに答えていた。 「涼!お前いい加減に人にのしかかる癖直せ!重いだろ!?」 「お前が遅いのが悪いんだろ?はーやーくーしーろぉー」 俺の呪文にやっぱり毎日同じようなことを返して笑う、俺に抱きつくこの男『山下 涼平』 サイドに流した短髪の前髪の下の特徴的なツリ目。人懐っこそうな笑顔が目に入った。 涼とは小学校からの幼馴染。その関係は紛れもない『ただの親友』。…いつだったかよく覚えてないけど、中学に入ったあたりから涼が誰かと笑って話すたび、どうしようもなく悲しくなったりイライラしてる自分がいる事に気づいた。しかも自分に笑いかけてくれたり、さっきみたいなスキンシップ(?)をされた時は心臓が破裂しそうなくらいバクバクしていることにも。 ちゃんとした恋愛経験のない俺にだってコイツラの正体は分かった。 つまり、こいつこそが、俺の悩みの種で…。 そして、俺はこいつが…す…す………… す、きとかなんか、そんなのだ。 告白? そんな事できるはずがない、普通じゃない俺は涼に拒まれることが怖くてたまらなかった。 嫌われたくない。ならば知られなければ…。当たり前だろ…? 「なぁ…悠介。ゲーセン行かね?」 「お前それでも受験生かよ。まぁ、行くけど俺」 こんな風に遊んで笑えることは俺の幸せでもあるけど、伝わらない…伝えられない思いをため込むには限界があった。 伝えたいけど、伝えたくない。ワケの分からない矛盾という穴にはまっていた。 「なぁ…涼…」 「なに?」 「……やっぱ何でもねぇ」 「?…なんだそれ??」 “お前は俺が好きか?” “俺はお前が好きなんだ…” 言いたいことは、いつもノドの奥で止まった。 [次へ#] |