serial story 8 どうやら、張もさっきの件がバレたんじゃないかと思っていたらしい。 そう思っていたところへ、検討違いの質問。 といか、これ何の質問? 何で斎藤がそんなこと聞いてくるんだ? 俺に何をしてたって・・・そんなこと聞いてどうするんだろう? あっ!!・・・もしかしてさっきの状況。俺、ものっすごい苛められてるように見えたのか? 見え、る。うん、苛められているように見えるじゃねぇか。 そうか、斎藤は俺を助けてくれたのか、もの凄い勘違いだけど。 でも斎藤の勘違いはむしろ好都合だ。 下手なことを言って、さっきの件がバレたらそれこそ目も当てられない。 そう思った俺は、おそらく同じことを考えている張に目で合図を送った。 「いや、急に腹が痛くなっちまって。それで、張が助けてくれてだんだよ。」 俺は、チラりと張を見て、そっと頷く。 「そうですよ、旦那。何かでっかい勘違いされてませんか?」 どうやら、俺にうまく合わせてくれたみたいだ。 「・・・本当か?」 斎藤はその鋭い眼だけをこちらに向けて、訊ねて来る。 ここは堂々としてないとバレてしまう。俺は、キリっとした眼を斎藤に向ける。 「本当だって。」 「何か、されてたわけじゃないんだな?」 「何もねぇよ。」 うん、だから斎藤はどんな勘違いをしていたんだろう。 何か、ってなんだ。何かって。 やっぱ俺は苛められているように見えたのか? 俺はそこら辺を聞きたかったが、今余計なことを言ってしまうと、墓穴を掘ってしまいそうだったから、何も聞けないまま、口を閉じていた。 「なら、良い。」 斎藤はそう言うと、俺の方へと体を向けて俺を上から下まで見る。 何見てんだ、こいつは。 はぁー。 そして、なぜかため息を一つ。 「で、腹は大丈夫なのか?」 そう聞かれて、少し戸惑う。 だって、実際痛くないし。 が、俺は痛くもない腹をさすりながら 「い、痛い。」 と答える。仮病ってどんな風演技すれば良いのかもわからない。 とりあえず、痛いってことにしておこう。そして、早く帰らせてもらおう。 俺は病人なんだ。ボロが出る前に早くこの場を退散しよう。 張との約束は、またこいつから俺の家にでも来るだろうから、その時に。 そう考えた俺は、じゃあ。と手を上げ、その場を後にするはずだった。 だった。のに・・・。 「っ!?」 俺は、ガシっと手を掴まれる。 驚き、掴まれた腕をみると、白色の手袋。をはめた斎藤の手が、俺の腕をへと伸びていた [*前へ][次へ#] |