serial story 3 「はぁー。」 俺は疲れの色を含んだ深いため息をつく。 結局、スリ犯なんてものを見つけることはおろか、妖しい人物さえ見つけられなかた。 まぁ、こんな混雑した車内じゃ無理もないけど。 でも、さすがに手ぶらで帰ったら張に何か言われそうだな。 また、明日も行けって言われたらどうしよう・・・。 俺はそんなことを考え、ぶるりと体を震わせた。 ぜってー今日中に捕まえないと、悲惨なことになりそうな予感。 だが、そんな考えも虚しく、無情にも、横浜から新橋まで最後の便となった。 すでに、日は落ちて列車内は薄暗くなっており、うっすらとしか辺りを見回せない。 しかし、さすがにこの時間ともなると幾分か人も少なく、体の自由は利いていた。 けど、俺は絶対手摺は離さねぇけどな。 「っ、・・・。」 あれ?気のせいか・・・? 今なんか・・・。 あまり人のいなくなった車内。 俺は、一瞬違和感を覚えた。 何かが俺のお尻に触れたように感じたのだ。 気のせい・・・? そう思っていたのだが。 「ぅぁっ。」 気のせいなどではない。確かに俺のお尻を誰かが触っている。 服の上から撫でるように、俺のお尻の上を上下に誰かの手が動いている。 これはまさか・・・痴漢!!! 何だ、こいつ。俺を女と勘違いしてるのか? この暗さで分かってねぇのか。 大声を出して、殴りかかってやりたい、のはやまやまだが、ここは公共の場。 少なくなったとは言え、他の客もたくさん乗っている。 そんなところで、男の俺が痴漢に合っているなんて言えるわけがない。 俺は歯を食いしばって、そこ行為に耐える。 もう少し我慢すれば、駅に着く。それまでの辛抱だ。 が、俺が抵抗しないのを良いことに、そいつの行動はどんどん大胆になっていく。 撫でるだけだった手は次第に大きく動きだし、太ももやお尻を揉みだしたのだ。 [*前へ][次へ#] |