serial story
8
よいせっと俺が席から立つと
「どこへ行く?」
なんと間の悪いことに斎藤が話しかけてきやがった。
このまま自然と消えるはずが・・・。
「え?いや・・・あの・・・・。」
お前と一緒に飯が食えるか、間がもたねぇ。
っていうか、耐えられねぇ。帰る!!!
何て言えるはずもなく。
「か、帰る。」
すると斎藤が訝しげな顔をして
「なぜ?」
と尋ねてきた。
誰のせいで帰るはめになったと思ってんだよ。
何て又も言えるはずもなく。
「いや、雨宿りをしに。ほら、もぉそろそろ小降りに・・・。」
ちょっと引きつり気味の笑顔で窓の外を指さす。
それに合わせて斎藤の視線も窓へ向いたが
「さっきより、酷くなっているな。」
斎藤がポツリと言う。
俺は馬鹿かっっ!!!
自ら行き場のない状況を作ってどうする!!!
左之助は肩をやや落としながら、元の席に再び座った。
結局今の苦労はなかったことになり、挙句、ここに居続ける結果となった。
俺は肘をつき、窓の外の雨を睨みつける。
お前らが振り出したせいで、俺は不愉快極まりない思いをしているんだぞ。
早くやめっ!!
そして、俺をここから解放してくれ!!!
俺は心の中で雨に罵声を繰り返す。
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