serial story 13 思ってもいなかったこの状態に俺は少し焦る。 が、優しく頭を撫でられて、止まったと思っていた涙は再び流れ始めた。 「、ふぇ、っく、ひぅ、っ。」 「わるい、相楽。」 俺の頭を撫でながら、俺に『わるい』と耳元で謝り続ける斎藤の声に、俺の涙は止まらず、斎藤の腕の中で泣き続けた。 不思議と悪い心地はせずに、むしろ心地良いと感じてしまう、そんな腕の中。 本当に意味がわかんねぇ。 何でこんなこと俺にするんだ。 何で、あんな悲しそうな顔してんだ。 ムカつく野郎なのに、何でこいつの腕の中で泣いてんだ。 何で、心地良いなんて思っちまうんだ。 やっぱ、ガキ扱いされてんのかな。 でも、何で泣いてんのかもわかんねぇ俺はやっぱガキなのかな。 こいつの言う通り、ヒヨッコなのかもな。 ムカついて、意地が悪くて、憎まれ口で、何考えてんのかわかんねぇ野郎だけど 斎藤は優しい。 俺はやっぱ、ガキだ。 ムカツク。 [*前へ] |