serial story
3
ふぅー。
俺は、安堵の意味を込め、息を吐き出す。
「まぁまぁ、そんなとこ突っ立とらんと、そこ座りぃな。」
張が顎で指したのは、部屋の片隅にある西洋の椅子。
俺はあぁ、と返事を返し、それに座る。
フカフカして、凄く座り心地が良い。
俺は、手でポンポンとその感触を確かめる。
「ほれ。」
そう言いながら、張が氷の入ったお茶を際し出して来た。
「ありがとよ。」
俺はそれを受取り、ゴクリゴクリと喉を鳴らしながら飲んだ。
「で、また何で今日はあんなとこ、うろちょろしとったんや?」
いきなり確信を聞いてきた張に思わずせき込んでしまった。
ヘラヘラしてるくせに、何でこんな時はしっかりと痛いところを突いてくるんだ、こいつは。
一瞬、張の顔をチラリと見てみたが、相変わらず二コリとした笑みを浮かべている。
「なっ、何でって・・・別になんでもねぇし。」
俺は明らかな動揺を見せながら、わかりきった嘘を言う。
「左之助、お前嘘突くのがいっちばん下手くそな奴やな。」
張は手に持ったコップを弧を描くようにまわしながら、俺に言う。
「っ・・・。ほっとけ。」
やっぱり完全にバレている。
俺は、手に持っていたコップを机の上に置き、はぁーとため息を漏らす。
こいつに嘘言ったところで何にもなんねぇな。
っていうか、ただ単に借りてたもん返すだけだし。
これって普通のことだし。
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