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serial story
2
片手に着物の入った風呂敷を握りしめ、テクテクと道を歩いているのだが、やっぱり足取りは重たい。
家を出た時は勢い良く歩いていたのに、だんだんと遅くなる俺の足。

スカスガと言っていた俺の足音は今や、トボトボ・・・。


それでも、歩いているので嫌でも目的の所に辿りついてしまった。


目の前に構えられた大きな建物。
大きな門構え。


うぅ〜、行きたくない・・・。

今更ながらに行きたくない度全開!!!


ボーっと、その場に立ち尽くすこと数分。俺は名案を思い付く。

門前に立ち、警備をしているおっさん。こいつに預けて帰っちしまえば良いじゃねぇか!!

藤田警部に渡して下さいってな具合に。


俺って天才!!


胸の前でガッツポーズを決めた俺は、風呂敷を預けようとそのおっさんに近づく。


が!!


「何しとんねん、トリ頭。」


あと少しで全てが丸く収まるところで声を掛けられた。


ビクッ!!
俺の体は一瞬強張る。別に何もわりぃことなんかしてねぇのに。

その口調から、それが誰なのかは嫌でもわかった。


「張っ。」


俺はゆっくり声の方を振り返り、その名を呼んだ。


「何や用事でもあるんか?」


「あ、いや。用事っていうか何ていうか。」


俺がしどろもどろしているとその様子を全く気にすることなく、パァと明るい笑顔を俺に向けて


「まぁ、こんなとこで立ち話もなんやし、こっちきぃな。外はあついしな。」


「えっ、いや・・・ちょっ。」


張は俺の腕をグイグイ引っ張り、警視庁の中へ向かって歩き出す。。
俺の都合はお構いなしか!

相も変わらず我が道を行く張に俺の声が届くはずもなく、俺はそのまま建物の中へ連れて行かれた。



俺は張に手を引かれながらある部屋に通された。
そこは、ちょっと前に斎藤に傘を返す為に訪れた部屋だった。

が、幸か不幸か斎藤の姿は見えなかった。


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