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serial story
10
「何やねん、急にデカい声出して。」



張がどないしたんや。とゆっくり立ち上がって俺の顔を見る。



が、俺は正面を見つめたままで、張に視線をずらさない。


っていうか、ずらせない。



だって、それ多分間違いなく俺のせい!!



今の俺、完全に目が泳いでる。



「おい、左之助?」



張が心配そうに俺の顔を覗きこんで来た。



「どないしたんや、大丈夫か?」



いや、大丈夫じゃない。



心の中でそう返事をする。



ダラダラと嫌な汗が出て来た。



これ、今度斎藤に会うことがあったら、多分俺は・・・殺される?



昨日は、俺の勘違いに終わったけど、今回のはそうは行かないよな?



だって、原因がはっきりしすぎてる。



俺に傘をやったが為に、風邪を引いて、あまつさえ倒れた・・・。



飯やであのトリ頭に会わなければ、こんなことにはぁぁ・・・!!



と、怒り奮闘に違いない。



どうすれば、良いんだ・・・。



「張・・・。」



やっと口を開いた俺に、何や?と訊ねてくる。



「ちょっと、具合悪くなってきたから、帰るは。」



「は?」



俺は引きとめる張の声を無視するように、力なく歩き始める。



これは、何とかしねぇと・・・。



頭の中は、それで一杯な俺。



さっきまでの、陽気な気分を返してくれ!!



そう思いながら、俺は家に帰った。



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あきゅろす。
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