serial story
9
「なんで?疲労困憊か??」
俺は、唯一思い付く原因を言ってみた。
けど、次に張の言葉に俺は更に驚く。
「いや、風邪や。」
風邪??
風邪ってあの風邪??
斎藤って風邪を引くのか?
俺は、どうやら斎藤は無敵か何かと勘違いしていたらしい。
ちゃんと、風邪を引くんだ。
「完全にありえねぇ。」
「せやろ?旦那でも風邪引くんやで?」
どうやら、張も俺と同じことを思っていた口だ。
良かった。俺だけじゃなくて。
俺たちはいつの間にかその場に座りこんで話をしていた。
道行く人にとっては、かなり邪魔だったと思う。
けど、今はそれどころじゃなくて、俺たちは斎藤の風邪引き話で盛り上がっていた。
「腹でも出して寝てたんだろ。ぷぷっ、結構笑える。」
俺ってかなり失礼な奴だと思う。
自分で思う。
でも、寝像の悪い斎藤を想像すると、つい笑ってしまうだろ。
だって、斎藤のそんな姿が想像つかない。
しかし、こんなに陽気に笑っていた俺は、張の言葉を聞いて一気に青ざめる。
「そうやったらおもろいんやけど、ちゃうねん。何や、一昨日、殺しの事件があって、そん時えらい雨降ってたんやけど、旦那なんでか傘差さずに来てん。」
一昨日、の雨の日・・・?
「飯食いに行く言うて出てった時は確かに持って出てたんやけどな。」
飯・・・?
昼時・・・??
「多分、あん時ずぶ濡れになったんが原因やで。」
ずぶ濡れ・・・
「にしても、何で来た時傘持ってなかったんや??」
傘・・・。
かさ・・・。
・・・・。
「あっっ!!!!」
俺は、大きな声を出してバッとその場に立ち上がる。
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